写真歴史博物館 企画写真展
130年前にタイムスリップ!?

「幕末明治の写真家が見た富士山 この世の桃源郷を求めて」

  • 日下部金兵衛 「大宮村からの富士山」 (現 静岡県富士宮市大宮町)
    1880-1890年頃 (明治13-23年頃) 鶏卵紙プリントに手彩色

  • 日下部金兵衛 「今泉村からの富士山」 (現 静岡県富士市吉原町)
    1880-1890年頃 (明治13-23年頃) 鶏卵紙プリントに手彩色

  • 日下部金兵衛 「田子の浦からの富士山」 (現 静岡県富士市)
    1880-1890年頃 (明治13-23年頃) 鶏卵紙プリントに手彩色

  • フェリーチェ・ベアト 「富士吉田からの富士」 (現 山梨県富士吉田市)
    撮影年不詳 ゼラチン・シルバー・プリント(複製)

  • ハーバート・ポンティング 「本栖湖畔老松の間より富士山を望む」 1900年代前半(明治33-37年頃)
    写真集『Fuji-San』 (小川一真出版部、1905[明治38]年)より現物 (網版印刷)

こちらの催しは終了いたしました。

 FUJIFILM SQUARE(フジフイルム スクエア)写真歴史博物館では、2017年4月13日(木)から6月30日(金)まで「幕末明治の写真家が見た富士山 この世の桃源郷を求めて」を開催いたします。

 日本を象徴する霊峰、富士山。その雄大にして壮麗な姿は古くから人々の心を惹きつけてきました。古代、富士山は水の神、火の神として崇められ、やがて江戸時代に入ると、富士山は仏道の修験場となり富士信仰が生まれました。その後、より世俗的な富士講が広まると、富士山は庶民の山として気軽に親しまれるようになります。富士山は時代ごとに人々の心情を映して歌や絵画など様々に表現され、そこには富士山を心の支えにしてきた日本人の精神的な景色を見ることができます。
 一方、日本に写真術がもたらされたのは1848(嘉永元)年。開国後、富士山は外国人によって日本の観光名所としてとらえられるようになり、いわゆる「横浜写真」と呼ばれる外国人向けの土産物写真の被写体としても人気を集めるようになりました。また、日本に滞在した外国人写真家たちもその姿をとらえようと富士山の撮影に挑んでいきます。均整がとれ、類い稀なる優美さを誇る富士山は、各国を旅してきた彼らにとっても世界一美しい山であり、麓に広がる自然豊かな風景と相まって夢の国のように映りました。イギリス人写真家のハーバート・ポンティングは富士山麓を歩いた時の印象を「それは今まで日本の方々で見た森の中でも一番美しい森であった。おとぎの国を出たと思ったら、今度は桃源郷(アルカディア)へ入ったのだ」※1と表現し、その感動を伝えています。

 本展では、明治時代に活躍した写真家、日下部金兵衛を中心に、フェリーチェ・ベアトやハーバート・ポンティングといった外国人写真家たちによる多彩な富士山の写真を展示いたします。彼らが残した写真の中には今も変わらぬ富士山の姿があり、その周辺には現代から想像もつかないような景観が広がっています。約130年前にタイムスリップし、幕末明治の写真家たちが追い求めた“この世の桃源郷”富士山の世界を存分にお楽しみください。

※1: ハーバート・ポンティング著、長岡祥三訳『英国人写真家の見た明治日本 この世の楽園・日本』(講談社学術文庫、2005年)より

※ 5月13日(土)、6月10日(土)に写真展併催イベントとして、本展監修の打林 俊氏によるギャラリートークを開催いたします。


主な出品写真家のプロフィール

日下部 金兵衛 (くさかべ きんべえ) 1841-1934 (天保12年-昭和9年)
甲斐国(現 山梨県)生まれの日本人写真家。1863年にフェリーチェ・ベアトの助手となり、1881年、横浜に金弊写真館を開業。鶏卵紙プリントに美しい手彩色※2を施した作品で知られる。

※2: 鶏卵紙プリントとは、食塩と卵白を混ぜた溶液に紙を浸し、硝酸銀溶液を塗って感光性を持たせた印画紙にプリントした写真のこと。日本では、職人によって顔料で着彩されたものも多く作られた。

フェリーチェ・ベアト 1832-1909 (天保3年-明治42年)
イタリア生まれのイギリス人写真家。1863年に来日し、日本各地の風景や事件を記録。日本の写真家や絵師に大きな影響を与えた。

ハーバート・ポンティング 1870-1935 (明治3年-昭和10年)
イギリス人写真家。1901年頃から数度にわたり来日。1910年から1913年にかけてのロバート・スコット南極探検隊の写真家、映画撮影技師としても知られる。



企画展名 FUJIFILM SQUARE 写真歴史博物館企画写真展
「幕末明治の写真家が見た富士山 この世の桃源郷を求めて」
開催期間 2017年4月13日(木) ~ 2017年6月30日(金)
開館時間 10:00~19:00(入館は18:50まで) 会期中無休
会場 FUJIFILM SQUARE(フジフイルム スクエア) 写真歴史博物館
作品点数 23点 (予定)
出品写真家 日下部金兵衛、フェリーチェ・ベアト、ハーバート・ポンティング、小川一真、渡辺四郎、水野半兵衛(予定)
入場料 無料
主催 富士フイルム株式会社
協力 日本大学芸術学部
監修 打林 俊 [ 日本学術振興会特別研究員(PD)/ 東京大学大学院総合文化研究科 ]
後援 港区教育委員会
企画 フォトクラシック

【写真展併催イベント】 ギャラリートーク
展示会場内にて、打林 俊氏(本展監修)が富士山に魅了された幕末明治の写真家たちについて語ります。

日時 2017年5月13日(土)  14:00~ / 16:00~ (各回ともに30分)
2017年6月10日(土)  14:00~ / 16:00~ (各回ともに30分)
※終了いたしました。
会場 FUJIFILM SQUARE(フジフイルム スクエア) 写真展会場内
※ 座席はございませんので、予めご了承ください。
参加費 無料
申し込み 不要

写真歴史博物館は、2016年公益社団法人企業メセナ協議会より、「芸術・文化振興による社会創造活動」として「THIS IS MECENAT 2016」の認定を受けております。

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