銀塩フィルム表現の味わいを「明日」に語り継ぐ
FUJIFILM SQUARE 開館10周年記念写真展
ゼラチンシルバーセッション×FUJIFILM

ゼラチンシルバーセッション「GSS Photo Award」受賞者展

  • 「木偶の房(でくのぼう)」より © 嶋田篤人

  • 「木偶の房(でくのぼう)」より © 嶋田篤人

  • 「風のはじまり」より © 池田裕一

  • 「風のはじまり」より © 池田裕一

 FUJIFILM SQUARE(フジフイルム スクエア)では、2017年6月16日(金)から22日(木)まで、FUJIFILM SQUARE 開館10周年記念写真展の一つとして、ゼラチンシルバーセッション(GSS)による「GSS Photo Award」の歴代受賞者展を開催いたします。

 フジフイルム スクエアは、今年3月30日に開館10周年を迎え、これを機に「写真の過去・現在・未来」をテーマとする記念写真展を12本開催します。その一環として、日本を代表する銀塩写真作家の自発的な活動「ゼラチンシルバーセッション(GSS)」※注1が、その写真展開催と同時に新たな若い仲間と出会うため実施している「GSS Photo Award」の歴代受賞者3人による合同写真展を開催いたします。

 GSSは、写真のデジタル化が進展する2006年に、「銀塩フィルム・銀塩プリント」独自の表現の維持・発展を訴える写真作家4人※注2が「 Save the Film」を合言葉にスタートし、今年は計48名の写真家が出展し9回目の写真展を開催しました。銀塩写真を楽しみ、今後も続けていこうという思いを共にする新たな仲間と出会いたいという気持ちから2013年に「GSS Photo Award」を創設。

 本受賞者展では、同アワード歴代の最優秀作品受賞者である、嶋田篤人氏の新作「木偶の房(でくのぼう)」、池田裕一氏「風のはじまり」に加え、今年第3回の最優秀作品に選ばれた※注3 叶野千晶氏「ラーゲルの記憶」を展示します。
 スマートフォンでの撮影、SNSへの投稿と写真の表現方法が大きく広がる一方、写真文化を築いてきた源流である銀塩感光材料の表現は「明日」の写真の中にいかなる可能生を貫くのか。フィルムの味わいを語り継ぐ若い世代による写真展で、その可能性を模索します。

※注1 : ゼラチンシルバーセッション(GSS)のメンバーは、フィルムで撮影することを楽しんでいる。
さらに銀塩写真でしか表現できない楽しさ、面白さを広く知ってもらうことにより、これからの世代の為にも、選択肢の一つであるフィルムを守っていく思いを繋げていくプロジェクト。11年目の今年9回目の写真展は、4月21日(金)-5月7日(日)AXISギャラリー(東京都港区六本木)で開催。GSS 2017賛同写真家は、下記48名。

池田裕一、石内都、井津建郎、井津由美子、市橋織江、井上佐由紀、上田義彦、薄井一議、片桐飛鳥、勝倉崚太、久家靖秀、小瀧達郎、小林紀晴、小林伸一郎、今道子、嶋田篤人、菅原一剛、鈴木理策、瀬尾浩司、田尾沙織、瀧本幹也、辻佐織、泊昭雄、百々新、百々俊二、百々武、中野正貴、中藤毅彦、中道淳、西野壮平、蓮井幹生、ハービー・山口、平間至、広川泰士、広川智基、藤井保、藤塚光政、Bruce Osborn、本城直季、宮原夢画、三好耕三、村越としや、本橋成一、森本美絵、八木清、山内悠、若木信吾、渡邉博史
ゲストフォトグラファー Jock Sturges (敬称略)

※注2 : 2016年、プロコマーシャル写真家、写真作家として第一線で活躍している藤井保、広川泰士、平間至、瀧本幹也の4氏が活動を開始

※注3 : 2017年度審査員:吉野弘章氏(東京工芸大学教授)、平間 至氏(写真家)、姫野希美氏(赤々舎)、藤井 保氏(写真家) (敬称略)

※ 6月18日(日)に写真展併催イベントとして、「GSS Photo Award」受賞者展 ギャラリートークを開催いたします。


写真展出展者プロフィール

嶋田篤人

■嶋田篤人氏 「木偶の房」 (2013年 第1回最優秀作品 は「瞬膜」)
1989年 千葉県生まれ、2011年 東京工芸大学芸術学部写真学科卒業。東京都在住。
房総半島を中心に撮影、モノクロプリントを制作し、発表を続ける。今回は新作を出展。

房総半島で写真を撮る。
私はここで写真を撮ることが好きだ。
ある日の昼下がり。
空き地に木が落ちていた。
それは地面に根をはるわけでも、飾られているわけでも無い。
葉を生やすことも、椅子として服従することも無く、そうした本質から宙吊りになっていた。
木には人為的に削られた痕跡があった。
そこに造形の意図は感じられず、試し斬りの痕のようであった。
脇を締める。
ファインダーを覗く。
フォーカシングの二重像はピタリと重なり、そのまま動かない。
それは私にとって、写真になるための木となった。
繰り返し、試し撮り。
私は何の奴隷にもならない。
房総半島。
ここには雪化粧の山々も、珊瑚の青い海も、越すに越されぬ川もない。
どこまでも果てなき道は続かない。
この土地で私の写真を試す。
私はその問いかけと、この土地が交わる一点において写真を撮る。

(タイトルは「でくのぼう」と読む)

池田裕一

■池田裕一氏 2015年 第2回最優秀作品「風のはじまり」
1980年 東京都生まれ、デザイン、ディレクションを行うSIMPLICITYに勤務した後、写真スタジオを経て、2011年独立。
2014年より Pond Gallery(目黒区)を主宰。ここでは写真展のプロデュースのほか、全国各地の作家を訪ねて出会った器を展示販売している。

「風のはじまり」では、日本最北端の利尻島と礼文島、最南端の八重山諸島を撮影しました。 そこは日本の端と端、これより先は日本ではない場所、日本の風がはじまる場所であり、終わる 場所。

日本の端に漂う風を撮りました。

叶野千晶

■叶野千晶氏 2017年 第3回最優秀作品「ラーゲルの記憶」
1971年千葉県生まれ、東京都在住。2012年度年京都造形芸術大学通信教育部芸術学部美術科写真コース卒業。2014年千住博ザ・スーパー・アートスクール第一期生修了。

高校に通えなくなった青年期。孤独で絶望を感じていた頃、アンネ・フランクの日記を読んだ。1940年から42年にかけて建設されたポーランドの6つの強制収容所の内、現存する最大規模のアウシュヴィッツ=ビルケナウ跡地、ラーゲル。その地を訪れたいという気持ちに急かされ、2008年、2011年の2度にわたり足を踏み入れた。


企画展名 FUJIFILM SQUARE 開館10周年記念写真展
ゼラチンシルバーセッション×FUJIFILM
ゼラチンシルバーセッション「GSS Photo Award」受賞者展
開催期間 2017年6月16日(金)~2017年6月22日(木)
開館時間 10:00~19:00 (最終日は16:00まで/入館は終了10分前まで) 会期中無休
会場 FUJIFILM SQUARE(フジフイルム スクエア)
富士フイルムフォトサロン 東京 スペース2
出展作家
GSS Photo Award 2013年 第1回最優秀作品 嶋田篤人氏
同 2015年 第2回最優秀作品 池田裕一氏
同 2017年 第3回最優秀作品 叶野千晶氏
作品点数 各約10点、計約30点予定
入場料 無料
主催 富士フイルム株式会社
協力 ゼラチンシルバーセッション、AXISギャラリー

富士フイルムフォトサロンおよび写真歴史博物館は、2016年公益社団法人企業メセナ協議会より、「芸術・文化振興による社会創造活動」として「THIS IS MECENAT 2016」の認定を受けております。
※ 企業による芸術文化支援(メセナ)活動の活性化を目的に1990年に設立された、日本で唯一のメセナ専門の中間支援機関。

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