自己紹介をお願いします。
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篠田岬輝と申します。1990年生まれです。大学卒業後、3年半ほど会社員を経験し、その後動物写真家を目指して独立しました。今はアフリカや南極で野生動物を中心に撮影しています。なかでも今回展示する作品の様な、ケニア、タンザニアに広がるサバンナで生息する動物の撮影がメインです。ケニアには年に2回ほど訪ね、合計で1年の半分くらい滞在し撮影しています。
アフリカでの撮影を始めたきっかけは何ですか?
小さいころから、BBCやナショナルジオグラフィックの様なドキュメンタリー番組がとても好きで、アフリカの映像を頻繁に見ていました。また岩合光昭さんの『おきて―アフリカ・セレンゲティに見る地球のやくそく』という写真集の表紙を見て、子供のライオンがお母さんのライオンの背中に腕をかけている作品に心を奪われたこともきっかけのひとつです。アフリカに初めて行ったのは社会人になってからで、旅行感覚で行ったのですが、そこで見た動物たちの生き生きとした姿や輝く大地、空の美しさに心を惹かれて、アフリカに通い始める様になりました。
篠田さんにとっての、野生動物の魅力は何ですか?
野生動物はとても素直で、人間のような邪念がなく、今を生きることだけに集中しているように感じます。彼らは今日を生き抜かないと明日がないため、今日を生きるために狩りをします。狩りをするために日中はしっかりと寝るなど、生活リズムを整えます。そういった動物らしい純粋な、生きるための行動の中に、親子や夫婦の愛情があるということにとても惹かれています。(野生動物を撮影することは、)動物を見ているようで、実は人間の中にある、自然とつながっている部分を思い起こさせてくれる点にも魅力に感じています。
撮影での具体的なエピソードを教えていただけますか?
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僕はケニアのマサイマラにいる、ブラックロックと呼ばれるひとつの群れを6年くらいずっと追いかけています。初めて見たときに小さかった生後2か月くらいの赤ちゃんが、成長していくのを半年おきぐらいに撮影していました。1歳半くらいの時に、撮影をしていたら、そのメスの赤ちゃんがカメラの方に近寄ってきました。好奇心旺盛な赤ちゃんであることは知っていたので、そのまま撮影を続けていると、カメラをつついて遊び始めました。レンズを覗き、最終的にはレンズを舌で舐められました。動物園で見たことがある人はわかるかもしれませんが、ライオンの1歳半は実は大型犬よりも大きく、息づかいにもかなり迫力があります。ドキドキしながらファインダーを覗いていたことを覚えています。
普段撮影しているときに注意していることは何ですか?
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動物の目線に立ち、気持ちを考えることを意識しています。例えば、ライオンを撮影するときはライオンの友達や家族になった感覚で撮影します。「自分は彼らの視点からどのように見えているか」、「彼らが一番魅力的に感じられるシーンはどのような時なのか」を考えながら、撮影場所を考えます。車で撮影することが多いのですが、その時は心理的・物理的距離を縮めるために、車の両側のドアを取り払って完全にオープンにした状態で撮影します。ライオンやチーターが乗ろうと思えば乗れる距離と、危険を避けるための一定の距離のバランスを取り、動物の視点に立った撮影を心がけています。
今回の写真展のテーマについて詳しく教えてください。
今回は「Contrast of Savanna -アフリカ 大草原で輝く生命-」という名前の通り、コントラスト(対比)をテーマにした写真展です。撮影のテーマ自体は光と影、群と個、近景と遠景、クローズアップとパノラマなど、対照的な要素を対比するイメージでまとめています。
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今回、展示するにあたっては「体感」をテーマにしていて、サバンナを体感してもらえるように心がけています。中でも、5mを超えるようなパノラマ写真や、瞳に寄ったクローズアップ写真もあり、ご来場いただいた方にサバンナを感じていただけると期待しています。
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今回、展示するにあたっては「体感」をテーマにしていて、サバンナを体感してもらえるように心がけています。中でも、5mを超えるようなパノラマ写真や、瞳に寄ったクローズアップ写真もあり、ご来場いただいた方にサバンナを感じていただけると期待しています。
最後にインタビュー記事をご覧の皆さまにメッセージをお願いします。
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現在の海外に行けない状況の中で写真展に来ていただいて、サバンナに行った気持ちを味わい、「写真展で見た動物を実際に見たい」と思っていただきたいです。また、写真展の開幕と同時に『サバンナに生きる! ライオン家族の物語』(玄光社)という写真集を会場でも販売します。写真展・写真集ともに大人の方からこどもの方まで皆さんに楽しんでいただけるような内容になっています。ぜひご来場いただけますと幸いです。