富士フイルムが運営する写真展(東京・六本木)

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富士フイルムが運営する写真展(東京・六本木)

[image]小関一成さんへの特別インタビュー

山形県 白川湖 水没林が織りなす幻想的な風景を写す
小関一成さんへの特別インタビュー

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2022.02.18

普段は写真館で人物撮影をしながら、山形県や東北地方の自然風景を撮影している小関一成さん。
フジフイルム スクエアにて、山形県飯豊町(いいでまち)にある白川湖の水没林の風景をまとめた写真展を2月18日より開催予定で、それに合わせて写真集の発売も予定しております。
今回は、「写真家たちの新しい物語」にご出展いただく小関一成さんに、水没林を撮影し始めたきっかけや、水没林を撮影する際のこだわりなどについて伺いました。

プロフィール

[image]小関 一成

小関 一成

Koseki Kazuaki

1977年山形生まれ。山形市在住。
写真館で人物撮影をしながら、四季を通じて「五感」を呼び起こし、山と森と川が織りなす世界を写し続けている。

山形の写真館の家に生まれ幼少期より写真に親しみ、現在も写真館で人物撮影を続けながら、山形や東北の自然を撮影。20代の頃からフライフィッシングに親しみ、自然に対し畏敬の念を抱いたことをきっかけに、山や森や川を歩きながら感じた「地球温暖化によって変化する自然」や「環境問題」などの問題を伝え、保護するため活動している。

Wildlife Photographer of the Year 2021,LensCulture Critics' Choice 2021, BigPicture Nature world Photography Competition 2021,Photoville FENCE 2020,での受賞をはじめ国内外で多数の受賞をしています。
ロンドン自然史博物館、カリフォルニア科学アカデミーでの写真展示。ナショナルジオグラフィックWeb掲載、アメリカ,ロシアでの写真展示など海外を中心に評価を得ている。

水没林を撮影し始めたきっかけは何ですか?

  • [image]©Kazuaki Koseki

    私は、15年ほど前から、趣味のフライ・フィッシングをしに、水没林のある白川湖上流の白川に通っていました。そして7年程前に水没林のある場所を訪れたんです。4月中旬でしたが、まだ雪が数メートルほど残っていました。零下の気温の早朝は霧が広がっていて、光が差し込むとその霧が輝きだし、とても幻想的な光景でした。その時、「この場所を写真で伝えたい」と思ったのが水没林を撮影し始めたきっかけで、それ以降、撮影を続けています。

小関さんにとって、水没林の風景の魅力は何ですか?

  • [image]©Kazuaki Koseki

    白川湖は白川ダムの最上流部にあり、日本百名山である飯豊山を中心とした山々から、春には雪解け水が流れ込みます。水没林はこの雪解け水が流れ込むことによって水没林が生まれるんです。通常、木は地面から生えていますが、水没林となる4月中旬から5月中旬の1か月間は、まるで木が水面から生えているように感じることができます。木々が水面の静かな湖面に映し出されることによって、まるで現実ではないかのような錯覚に陥ってしまう幻想的な光景を見ることができます。そういったところが水没林の魅力です。

水没林の風景を撮影する中でのエピソードがあったら教えてください

  • [image]©Kazuaki Koseki

    2020年は稀にみる暖冬で、とても雪が少なかった年でした。冬の終わりごろに水没林に行くと、水かさが増えはじめて既に水没林ができつつあり、沢山の鳥が巣作りを始めていました。見ると、その鳥はそれまでほとんど山形県で見ることのなかったカワウでした。カワウは長良川の鵜飼で知られているとおり、アユやヤマメなど渓流魚を獲ることがとても得意な鳥です。近年、カワウは全国で生息域を拡大しており、渓流魚が食いつくされてしまう被害が起きています。私は釣り人なので、ヤマメなどの魚がいなくなってしまうと困りますし、悲しい気持ちになるというか、私にとってカワウはまさに「招かれざる客」でした。これまでいなかったところにカワウが生息しはじめたのは、おそらく昨今の気候変動や地球温暖化に関連しているのでしょう。

ただ、水没林にいるカワウの撮影を続けるなかで、私の気持ちに変化が起きました。カワウはクチバシで枝を運び、つがいで巣を作り、卵を産み、温めていて、そのような命を次の世代につなぐカワウの行動を見ていると、とても微笑ましい気持ちになったのです。「招かれざる客」だったカワウが微笑ましい様子を見せてくれている、ということに私はとても不思議な気持ちになりました。
今回の写真展では、そうしたカワウの家族やつがいの様子を見ることができますので、ご覧いただけましたら幸いです。

撮影する中で気を付けていることやこだわりは何ですか?

  • [image]©Kazuaki Koseki

    鳥など生き物を撮影する際は、近づきすぎて彼らが別の行動をとることにならないように注意しています。また、白川湖の水没林に霧が発生し、山手から朝日が差し込む時、その朝日によって霧が輝きだしたり、赤く染まったりと様々な変化が起きますので、その変化をとらえることに特にこだわって撮影しています。そして、霧と光の状況によって光景は絶えず変化を続けているので、そうした一瞬の変化・・色合いや霧、靄の様子などが最も美しいと思える瞬間を写真で捉えたいと考えています。その瞬間をしっかりととらえられるよう撮影しています。

動画をご覧の皆さまにメッセージをお願いします。

  • [image]©Kazuaki Koseki

    私の暮らす山形県をはじめとした東北地方には、まだまだ知られていない美しい光景が残っています。ぜひ写真展にご来場いただいて、幻想的な世界を少しでも感じていただければ嬉しいです。また、今回の写真展に合わせて、写真集「霧幻の水森(むげんのもり)」を冬青社より出版することとなり、会場でも販売させていただきます。写真展と写真集とでは写真の構成内容を変えており、どちらも楽しんでいただける内容となっております。ぜひご来場いただけましたら幸いです。