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富士フイルムフォトサロン スペース2
齊藤 進写真展「黄河の水天上より来たる」
黄河の水 天上より来たる
古来、黄河の源流は天の川につながると伝えられた天涯の世界である。
極寒の荒涼たる大地は初夏を迎えると目のさめるような大草原となり青いケシをはじめとする高山植物が百花繚乱、鼠兎(ナキウサギ)や多くの野生動物が飛びまわるおとぎの国を思わせるような雲上の楽園となる。海抜4400m青海省チベット高原のバヤンカラ峠を分水嶺とする源流域の雲は低く手のとどくようなところにある。真珠のような源流の水は唐の詩人李白が詠ったように黄土の悠久の大河となり5464kmを蛇行し奔流、渤海にそそいで又還ってくる。来世を信じ神と共に源流に生きる信仰心の強いチベット人と同じように。
タルチョ(五色の祈祷旗)が読経されるように風に舞う祈りの大草原、神の楽園を黄河はゆったりと流れ続ける。
しかしこの天空の大地も温暖化による旱魃、雪害、牧羊や鼠兎の食害による生態の変化、裸地、沙漠化が進みここ青海省内の黄河の水量も20年で23%も減少していると云われる。通信、交通網の急速な発達による都会化、異文化の流入によりで便利さの追求が生態系や価値観を変えていく。
齊藤 進