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富士フイルムフォトサロン スペース2
山内かむ志写真展「那須-噴煙の山」
山内かむ志さんの著書は、すでに4冊になる。第1集は日本の山で、北アルプス、富士山、尾瀬などを網羅した「山嶽慈心」、同時に著した世界の山をテーマとした「渇仰の峰々」、そして「山嶽慈心」の中からの抜粋である「慈心尽くること無し」で尾瀬をまとめ上げた。
第4冊目のテーマは那須、氏が永年かよい、尾瀬とともにこよない愛と情熱を注いできた山地である。
考えるまでもなく、那須は山地としては小さく、モチーフは噴煙と岩骨岩氷などが主体であり、日本の他の山岳、たとえばアルプスのように巍峨とした威容や雄大な景観を誇る、といったこともない。山麓や山腹を飾る樹林や、標高が低いため、稜線に湧き昇る積乱雲のような景観にも乏しい。
しかし、ここに集められた作品には氏の透徹したカメラアイが岩峰から、噴煙から、岩礫の原から、山ひだから、山稜の起伏からえぐり出し、つかみ取り、作品として結晶させた心の叫びがある。実のところ私は驚ろいている。いつの間にこの作品群をまとめ上げたのだろうと。
ここに展示された氏の那須の作品群に対して、心からなる讃辞を捧げるものである。
山岳写真家
山岳写真の会「白い峰」会長
白籏史朗