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富士フイルムフォトサロン スペース3
旅するガラスたち−増田洋美の不思議なアート・インスタレーション
増田洋美の、自在でダイナミックな吹きガラスを何百も使ったアート・インスタレーションは、世界中のユニークな場で展開される、サイト・スペシフィックで、これまでにまったく類例の無い仕事である。
ヴエネチアの古い教会の中庭や、ルネサンス期の古城の地下牢。
彼女にとって、ガラスは生の歓びをうたい、地の声を伝える生き物だ。
「ジャワの荒波打ち寄せる海岸では、楽しげにころころと笑いころげ、朽ちかけた寺院では、修行僧の読経の声をひびかせていた」。
湯島の孔子廟や、那須の大地で、静謐で自然にとけ込んだガラスの表情も、忘れ難い。
増田洋美の活動は、彼女が拠点として制作してきたガラスの聖地ヴェネチアをはじめ、広くヨーロッパで知られて定評がある。
旅するガラスたち。
ガラスを使った、現代美術作家としての、二八年の仕事の一端を、ぜひご覧いただきたい。
2009年
新見隆(武蔵野美術大学芸術文化学科教授、美術評論)