マレーシアを代表する写真家の一人、アレックス・モーは自らの写真観として被写体は撮影者の主観ではなく、客観的に捉えるべきものとしてこだわっています。そのため、彼は中判以上の大きなサイズのカメラによって、被写体は出来るだけ精緻に捉えます。展示作品はゼラチン・シルバー・プリントの特徴をいかし、シンプルでかつストレートに表現されています。今回の写真展では、二つのテーマの写真展を紹介します。
一つは静かにゆったりと流れる森の中に身を置いて様々な表情を見せる樹々を捉えています。時間の変化に刻々と変化する森の佇まいはアレックスをして写真撮影を忘れさせる程の感激がありました。
他には人の生活空間に自分の気持ちを重ね合わせます。コーヒーショップの廃屋の室内のインテリア、装飾等、室内空間を緻密に表現しています。更に不思議なことは、無人の空間の壁や道路、家の周りを吹き抜ける風の雰囲気で人の存在を感じさせます。
両作品とも静かな空間描写を通じて、インスピレーションによって捉えられた光の存在を感じさせてくれます。
[ALEX MOH の略歴]
1958年生 写真家、キュレーター、写真評論家。
多くの写真展、マレーシア国内の各種写真展の開催に尽力。
マレーシア国立美術館写真部門の客員キュレーター(現在)。
以下の書籍を同美術館の刊行物として発刊。
(1)マレーシアの写真(歴史と将来)(2004)
(2) The Loke Legacy (ロークの遺産) ( 2004 )
(3) Dato Love Loke Tho (ダク・ロク・ワン・ソの写真コレクション)(2006)
【主な著作物】
(1)写真コンテストの意義について(リチャードボルトン社:1996)
(2)現代アートとしての写真(シャーロットコットン社: 2004)
(3)現代のアートフォトグラフィ(スーサンブライト社:2005)
(4)写真の哲学性 (スコットワルデン社:2008)
後援:外務省・文化庁・東京都・マレーシア大使館
特別協賛:マレーシア政府観光局