京都から東京へ。TOKYOGRAPHIE開催!
KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 SPECIAL EDITION

TOKYOGRAPHIE オープニングプログラム

  • 深瀬昌久 「カラー・アプローチ」 1962年
    ©Masahisa Fukase Archives

  • 深瀬昌久 「烏景」 1983年
    ©Masahisa Fukase Archives

  • A Game: Sasuke, 1983
    ©Masahisa Fukase Archives

  • Hodophylax ~道を護るもの~
    ©林道子

  • GOKAB ~HIPHOPに魅了されたブータンの若者たち~
    ©関健作

  • こども写真コンクール2018
    大賞受賞作品:Thoma Poulin, “Un Géant”

こちらの催しは終了いたしました。

 FUJIFILM SQUARE(フジフイルム スクエア)では、2018年10月26日(金)から11月8日(木)まで、KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭と共催し、東京ポップアップイベント“TOKYOGRAPHIE”のオープニングプログラムとして深瀬昌久写真展「総天然色的遊戯」、林道子写真展「Hodophylax ~道を護るもの~」、関健作写真展「GOKAB ~HIPHOPに魅了されたブータンの若者たち~」、KYOTOGRAPHIEこども写真コンクール2018優秀作品の4写真展を開催いたします。
 “TOKYOGRAPHIE”は、フランス・アルルで毎年約3ヵ月間にわたって開催されるヨーロッパでも最大級の伝統ある写真祭、「アルル国際フォトフェスティバル」のようなアートのプラットフォームを日本につくるべく、2013年より京都で開催されているKYOTOGRAPHIE京都国際写真祭(主催:一般社団法人KYOTOGRAPHIE)が、今年その特別版として初めて東京で開催するイベントです。
 インターナショナル・ポートフォリオレビューは、KYOTOGRAPHIEで開催される新進写真作家の作品発表の場で、富士フイルムは今年度出展作品の優れた2作品に対しAWARDを授与させていただきました。

1.深瀬 昌久 写真展「総天然色的遊戯」
本展は、KYOTOGRAPHIE 2018のメインプログラムのひとつとして開催された深瀬昌久の国内初回顧展「遊戯」を新たなコンセプト、すなわち「カラー写真」から再構築するものである。これまで深瀬の代表作といえば、「鴉」や「サスケ」、「洋子」といったモノクロ作品群が挙げられてきた一方で、カラー写真も多く撮影した作家であったことはあまり知られていない。
深瀬は、キャリア最初期に当たる1960年代よりカラーの視座を積極的に取り入れた作家であった。しかしカラープリントの制作となると、変退色や保存性の乏しさなどといった課題が浮上した。また、写真館の長男としてこの世に生を授かった彼は、自ら手がけるプリントに「くせというか、独自性というか、個性というか、天の邪鬼のぼくとしての手造りの味のような質」を求めた。それだけに、深瀬によるカラープリント制作の模索は長らく続いたが、1983年にインスタントカラーフィルムを印画紙の代わりに用いるという斬新な手法を開発。同年、「総天然色的街景」なる作品を発表。インスタントカラーフィルムを印画紙代わりにして焼き込むという、ほかに2枚と存在しない技法によって誕生した深瀬ならではのカラープリントの在り方はその後、1990年代にはモノクロプリントに着彩色を施すという技法にアップグレードされていく。
1960年代から1990年代にかけて深瀬が制作したカラー作品群を辿ることによって、これまで語られることがなかった深瀬の「総天然色的遊戯」を確かめることができるだろう。

2.林 道子 写真展「Hodophylax ~道を護るもの~」
  インターナショナル・ポートフォリオレビュー2018 FUJIFILM AWARD大賞受賞作品
かつて日本列島にも狼が棲んでいました。そのニホンオオカミは、今からかれこれ100年以上も前に絶滅したといわれています。それでも、山間部では、咆哮を聴いた、目撃した、という体験談が後を絶たず、今でもニホンオオカミの生存を信じて、熱心に探し続けている方たちもいらっしゃいます。しかも東京を取り巻くように位置する奥秩父から奥多摩の山域では、古くから狼信仰が盛んで、また体験談も多いと知ったとき、私はとても驚き、惹きつけられ、秩父の山に通うようになりました。古来、山里に住む人々は、ときに人馬を襲うこともある狼を怖れながらも、超自然の力を持つもの、農作物を食べつくしてしまう鹿や猪を退治してくれるありがたい獣として、山の神の化身やお遣い=ご眷属様(ごけんぞくさま)=と捉え、大切に祀ってきました。日本各地に残る「送り狼」の民話からは、狼を夜道を魔物から護ってくれるありがたい存在と捉える心と、転んだら飛びかかられ喰われてしまうと震え上がる心の両方が伝わってきます。古(いにしえ)の日本の人々は、どんなふうに狼とつきあってきたのでしょうか。この写真展では、獣としての狼の存在と痕跡を奥秩父から奥多摩の山域に探りつつ、山に暮らす人々の間に伝わってきた狼にまつわる民話や伝承を視覚化するように試みました。
また会場では、KYOTOGRAPHIEのポートフォリオレビュー賞“FUJIFILM AWARD”を受賞した同名の手製本の写真集も展示販売いたします。こちらも合わせてご高覧いただければ幸いです。

3.関 健作 写真展「GOKAB ~ HIPHOPに魅了されたブータンの若者たち~」
  インターナショナル・ポートフォリオレビュー2018 FUJIFILM AWARD特別賞受賞作品
ブータンでは今、失業率が高く、将来の不安を抱える若者たちが急増している。
そんな若者たちの間で流行しているのが、HIPHOPだ。
保守的な仏教国であるブータンではそんな若者たちを軽視する風潮があり、肩身の狭い思いをしながら、彼らは活動を続けている。
私はブータンの小中学校で3年間教員を務め、子どもたちの未来を考えた時期がある。
ブータンに行くまでは「幸せの国」という印象しかなかったのだが、実際には、ほのぼのと暮らしている人ばかりではなく、将来に不安を感じ、生きづらさを感じる人を見た。その多くは10代、20代の若者たちだ。
それは日本の若者たちとなんら変わりのない姿にも感じた。
私自身も彼らの抱く不安や、不満、いきづまりのような感覚を持つことがある。
そんな中でも希望を見出し、自分たちの想いを発信するブータンのヒップホッパーたちの姿に深く共感し、心震わされた。
“GOKAB”とはブータンの言葉で“チャンス”。
「オレたちには才能も情熱もある。だけどここにはチャンスがない。チャンスがほしい」
HIPHOPを通して自分たちの存在を模索し、少ないチャンスを掴もうとする姿は写真で何かを掴もうとしている私と重なる。
この作品は、私自身が撮影した写真に彼らが描いたグラフィティを編み込んだ、希望と叫びの物語だ。

4.KYOTOGRAPHIE こども写真コンクール2018「UPはどこ? Which way is Up?」
KYOTOGRAPHIE こども写真コンクール2018は、関西圏の小・中学校(小1 ~ 中2)の学生を対象に開催されました。KYOTOGRAPHIEの写真レッスンガイドにて写真の基礎を学んだ後、KYOTOGRAPHIE 2018のテーマである「UP」をどのように表現できるかについて子どもたちが取り組みました。300組もの応募があり、応募作品から選出された作品が春にロームシアター京都で展示され、大変好評を博しました。このたび、子どもたちの感性あふれる作品群がFUJIFILM SQUAREに巡回します。

※ 10月27日(土)・28日(日)に写真展併催イベントとして、出展写真家トークセッションを開催いたします。


企画展名 KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 SPECIAL EDITION
TOKYOGRAPHIE オープニングプログラム
開催期間 2018年10月26日(金)~2018年11月8日(木)
開館時間 10:00~19:00 (最終日14:00まで ・ 入場は閉館10分前まで) 会期中無休
展示作品

1. 深瀬 昌久 写真展「総天然色的遊戯」

2. 林 道子 写真展「Hodophylax ~道を護るもの~」
インターナショナル・ポートフォリオレビュー2018 FUJIFILM AWARD大賞受賞作品

3. 関 健作 写真展「GOKAB ~HIPHOPに魅了されたブータンの若者たち~」
インターナショナル・ポートフォリオレビュー2018 FUJIFILM AWARD特別賞受賞作品

4. KYOTOGRAPHIE こども写真コンクール2018 大賞作品展
「UPはどこ? Which way is Up?」

会場 FUJIFILM SQUARE(フジフイルム スクエア)
スペース1、2、ミニギャラリー、ギャラリーX
入場料 無料
※ 企業メセナとして実施しており、より多くの方に楽しんでいただくために入場無料にしております。
主催 富士フイルム株式会社 ・ 一般社団法人KYOTOGRAPHIE
協力 深瀬昌久アーカイブス


【写真展併催イベント】 出展写真家トークセッション

日時 2018年10月27日(土) 14:00~15:00  林道子×写真家 森山大道
2018年10月27日(土) 16:30~17:30  深瀬昌久アーカイブス トモ・コスガ
2018年10月28日(日) 16:30~17:30  関健作×フォトジャーナリスト 安田菜津紀
※終了いたしました。
会場 東京ミッドタウン・ウエスト 富士フイルム 5F特設会場
※ 本写真展会場・フジフイルムスクエアより、ご入場いただきます。
参加 無料
申込

事前予約制(各回・先着150名)
9月25日(火)13:00より予約申込の受付をいたします。
①下記WEBサイトより

②フジフイルム スクエア館内でもお申込みができます。
※電話での受付はございません。


出展者、写真展併催イベント出演者プロフィール

深瀬 昌久
深瀬 昌久

深瀬 昌久 プロフィール
1934年、北海道中川郡美深町に生まれる。日本大学芸術学部写真学科卒業。日本デザインセンターや河出書房新社などの勤務を経て、1968年に独立。代表作「鴉」は世界的に高い評価を得ている。1974年、アメリカ・MoMAで開催された歴史的な日本写真の展覧会「New Japanese Photography」への出展を皮切りに、これまで世界各国の展覧会に出展多数。1992年、不慮の事故で脳障害を負い、20年間の闘病の末、2012年に亡くなる。享年78。


トモ・コスガ
トモ・コスガ

トモ・コスガ (キュレーター) プロフィール
深瀬昌久アーカイブス 創設者兼ディレクター。2014年に深瀬昌久アーカイブスを創設。深瀬の展覧会キュレーションや出版物の編集も担う。これまでに携わった展覧会として、深瀬昌久「Private Scenes」(2018年 Foam Museum)、深瀬昌久「l’incurable égoïste」(2017年 アルル国際写真祭)、深瀬昌久「救いようのないエゴイスト」(2015年 Diesel Art Gallery)など多数。著書として、「Masahisa Fukase」(Editions Xavier Barralより英語版および仏語版、赤々舎より日本語版)がある。


林 道子
林 道子

林 道子 プロフィール
東京生まれ。東京藝術大学にて日本美術史を学ぶ。企業の宣伝部に勤務し、在職中に参加したワークショップCORPUSにて細江英公・森山大道らに出会う。退社後、東京工芸大学芸術学部写真学科の研究生を経て、2001年よりフリーランスの写真家となる。人間と自然の関わりと断絶をテーマに写真プロジェクトに取り組んでいる。2016年、Reminders Photographie Strongholdの写真集制作ワークショップ「Photobook As Object」に参加。2017年、日本狼についての手製本の写真集「Hodophylax: The Guardian of the Path」を出版。2018年、同作品にてKYOTOGRAPHIEのポートフォリオレビュー賞“FUJIFILM AWARD”大賞を受賞。


関 健作
関 健作

関 健作 プロフィール
1983年 千葉県に生まれる。
2006年 順天堂大学・スポーツ健康科学部を卒業。
2007年 ブータンの小中学校で3年間体育教師を務める。
2011年 フリーランスフォトグラファーとして活動を開始。
2017年 APAアワード2017 写真作品部門 文部科学大臣賞受賞
2017年 第13回「名取洋之助写真賞」受賞
2018年 KYOTOGRAPHIE京都国際写真祭ポートフォリオレビュー賞受賞


森山 大道 プロフィール
1938年大阪府池田市生まれ。グラフィックデザイナーを経て、写真家岩宮武二および細江英公のアシスタントとなり、1964年に独立。1968年写真集 『にっぽん劇場写真帖』 、1972年写真集 『写真よさようなら』を発表。アレ・ブレ・ボケと呼ばれる荒れた粒子、焦点がブレた不鮮明な画面、ノーファインダーによる傾いた構図を特徴とした、既存の写真制度を覆すラディカルな表現で写真界を震撼させた。その評価は内外の美術界に及び、世界各国で大規模な展覧会が開催されている。国際写真センター(ニューヨーク)Infinity Award功労賞(2012年)、ドイツ写真協会・文化功労賞(2004年)、日本写真協会 作家賞(2004年)、第 44 回毎日芸術賞(2003年)、日本写真批評家協会新人賞(1967年)を受賞。


安田 菜津紀 プロフィール
studio AFTERMODE所属フォトジャーナリスト。カンボジアを中心に、東南アジア、アフリカの貧困やHIV、中東の難民問題を取材。東日本大震災以降は陸前高田市を中心に被災地を記録。J-WAVE JAM THE WORLD 水曜日ナビゲーター。写真絵本『それでも、海へ 陸前高田に生きる』。防災士資格取得。

(以上、敬称略)


「FUJIFILM SQUARE(フジフイルム スクエア)の活動」は、公益社団法人企業メセナ協議会主催の「メセナアワード2018」において、優秀賞「瞬間の芸術賞」を受賞しました。
①「富士フイルムフォトサロン」の運営、②「写真歴史博物館」の運営、③「フジフイルム・フォトコレクション」の収蔵・展示の3つの総合的な活動が評価されたものです。
※ 企業による芸術文化支援(メセナ)活動の活性化を目的に1990年に設立された、日本で唯一のメセナ専門の中間支援機関。

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