今回の写真展タイトル「心模様、花もよう」は、素敵なタイトルですね。
どのような意味をこめてタイトルをつけられましたか。
タイトルをつけるのが本当に難しかったです。寝いりばなに、浮かんだ言葉を書き留めることもありました。
四字熟語のようなタイトルを検討されていたこともありましたね。
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そうですね、四字熟語のタイトルも実は検討していました。
今回は作品の中でも、自分の気持ちが表れている写真を展示した写真展にしたいと考えていたときに、「模様」という言葉がひらめきました。自分の気持ち、すなわち「心」と「花の写真」に共通しているのが「模様」だと思ったからです。「心(気持ち)の模様」と、デザイン的な「花のもよう(パターン)」のふたつの意味にかけて「心模様、花もよう」とするのはどうか、と考えました。また、「模様」という言葉も、ひとつは漢字、もうひとつはやわらかくひらがなにするという点にもこだわりました。
それでは、今回の写真展の見どころを教えていただけますか。
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ふたつあります。ひとつは花そのものの色・形・造形などのバリエーションと、花が咲いている状況、大地や地面などをセットで見ていただきたいということです。また、撮影の条件も様々に変わっていきますので、太陽の状況や天気も含めて花の表現をしている点を見ていただければと思います。もうひとつは、作品に対する私自身の気持ちや視点です。それらを皆さまに感じ取っていただき、願わくば共感していただけたら嬉しいです。
花の写真といっても、図鑑のようにアップで撮影した写真もあれば、超マクロで撮影した写真もあります。「岡本先生らしい」花の写真の特徴はなんでしょうか。
私も花のマクロ写真などは好きですし、今までも撮影してきました。私の写真は、それらに加えて撮影時の状況や花の周りの状態も考慮しながら、そこに自分の気持ちをのせていることが、一番の特徴だと思います。写真教室の講師をしているということもあり、「花を綺麗に撮る」という観点で撮影することが多いのですが、写真展では、ただ綺麗というだけではない一面も見ていただけたら、と思います。
そうでない一面・・・、そこに本来の岡本先生が出ているということですか。
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それが本来の私かどうかはわかりませんが、花は咲いているときだけではなく、散っていても枯れていても綺麗です。花の様々な表情を知っていただけたら、というのが私の想いです。
写真展の選定対象となった写真は400点。それより前の選定段階では、「Xシリーズ」で撮られた作品が何万点もあったと思います。その中で岡本先生が感じられたことは何でしょうか。
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何万点もの写真のなかには、いい写真もあればそうでない写真もあります。「これはいい写真だな」と思ったものは、自分の気持ちがのっている写真です。「撮ったときは雨がざぁざぁ降っていたな」「雨が冷たくて自分一人しかいなかったな」など、その場の空気感が表れている写真が結果的に展示作品として選ばれていると思います。また、「自分の気持ちがその写真のなかに表現されている気がするな」という写真も選択しています。富士フイルムの「Xシリーズ」のカメラを使い、自分の気持ちを写しこんだ作品を集めて、今回の写真展はできあがっています。
今回の写真展は全国巡回ですので、ひとつの大きな区切りとなると思います。
今後どのような活動をされるのですか。
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今回、全国巡回という企画をいただき、また、写真集も制作することになり、自分のなかでも一区切り付きました。ただ、撮影活動には「終わり」はないし「満足」もありません。今の時点でもベターですがベストではなく、今後状況が変われば、また違った写真が撮れるのではないかと模索するでしょう。今に満足せず、色いろな花の表情を撮っていきたいと考えています。今の延長線で撮影していく、または基本に立ち返るかもしれません。
以前実施した、「自室で切り花を645(6×4.5㎝・中判サイズ)の黒白フィルムで撮影し、バライタ印画紙に自分でプリントする」というクリエイティブで面白い試みを再びやってみるのもありかなと思っています。これからはリアルな暗室ではなく、デジタル暗室になるのかもしれませんが、色いろな方向性があると思っています。
岡本先生のお話にもありましたが、今回写真集が発売されます。
写真展会場で気に入った作品は、家に持ち帰ってじっくり見ることができるのがメリットですね。
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はい。ぜひ写真集でも、作品をご覧いただけたら嬉しいです。
以前は自由に遠くまで出かけて撮影を楽しめましたが、この1~2年間はコロナ禍で、遠出は難しい状況です。その中で花は身近に撮影することができる、今の時代に適した被写体だと思います。
これから花の撮影を始める人が増えると思いますので、その方々へメッセージをお願いします。
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「花」という被写体は、皆さんの身近にあります。誰でも簡単に撮ることができる一方で、簡単に撮れる被写体だからこそ、「思ったように撮れない」「いつも同じようにしか撮れない」と悩む方も多いのではないでしょうか。アドバイスとしては、被写体そのものである「花」を見ることに加えて、被写体の背景や状況、いつ撮ったらどう写るのかなども考えながら写し込んでいくと、どんどん面白くなるのではないかと思います。コロナ禍でも、身近にある花は撮れますから、多くの方に花の写真を楽しんでいただけたらと思います。
写真展が開催される4月は、ちょうど花の季節です。ぜひ会場で花の写真を楽しんでいただけたら嬉しいです。
本日はありがとうございました。