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8月のレビューの様子
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9月のレビューの様子
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ファイナリストレビューは
レビュワー4名で実施
ポートフォリオレビュー/アワード 2024 アワード受賞者4名が決定!
富士フイルムフォトサロン 若手写真家応援プロジェクト
<アワード展 開催期間(予定)>
2025年3月21日(金)~4月10日(木)
富士フイルムフォトサロン 東京(フジフイルム スクエア内)
2025年4月25日(金)~5月8日(木)
富士フイルムフォトサロン 大阪
ポートフォリオレビュー/アワード 2024
アワード受賞者の作品
本企画について
「ポートフォリオレビュー(*1)/アワード」は、国内外で活躍する写真家をレビュワー(*2)(審査員)に迎え、45歳以下の写真家・写真家を志す方から募集した作品を講評。受賞者4名に対し、写真展開催へ向けたアドバイスや、展示作品などの制作費100万円相当をサポートする企画です。
*1 ポートフォリオレビュー:作品講評会(以下レビュー)
*2 レビュワー:講評する講師(プロの写真家)
今回は、写真家 浅田政志氏・公文健太郎氏・小林紀晴氏・野村恵子氏をレビュワーに迎え、浅田氏・公文氏が8月に、小林氏・野村氏が9月に、一次選考を通過した48名に対しオンラインでレビューを実施。参加者1人1人が作品に対する思いや悩んでいる点などを伝え、それらに対しレビュワーが丁寧にアドバイスを行いました。
10月には二次選考を通過した12名に、対面式でファイナリストレビューを実施。12名は前回のアドバイスを反映させた作品・写真展への熱い思いなどをプレゼン。それらに対しレビュワーたちは、写真展を見据えた具体的なアドバイスを行いました。
そして、最終選考を経て、アワード受賞者4名が決定しました。
今後、受賞者たちは、各レビュワー・企画者と伴走しながら作品をレベルアップさせ、富士フイルムのサポートを受けて作品制作を進めていきます。
詳細は後日、写真展開催のリリースにてご案内します。受賞者たちがどのように写真展を作り上げていくのかを楽しみにお待ちください。
アワード受賞者紹介 (五十音順・敬称略)
Vol.1 赤堀 あゆみ 「ちちよせあつめ」 (レビュワー:浅田政志)
父の還暦を機に、これまで撮った写真を改めてプリントしてみようと思いました。
記念写真や記録写真、視覚的に面白いと思ったもの、何となく繰り返し現れるけれど全く同じではない時間、いつかは無くなる日々の写真たち。
父を撮ることは、お互いのどちらかが棺桶に入るまで、または燃え尽きてもなお、存在を感じながら続けるだろうな...とぼんやりと思っており、その時のために向かって撮っている気すらしています。
けれど写真を見直している時に感じるのは絶対的に訪れる喪失への不安ばかりではなく、今まで続いてきた時間の強さと圧倒的なパワーでした。
私の父って最高じゃん!
そのパワーや楽しさが、写真を見てくれた誰かにも伝わったらいいなと思っています。決め顔の父から普段の父、その周りの人間たちを楽しんでいただけたら幸いです。
<浅田政志 選評>
全体から、作者とお父さんとの関係性が伝わってくる、力のある作品。笑いの要素が前面に出ているが、どこか将来へのもの悲しさも感じさせてくれる。見る人の心が温かく、笑顔が自然と溢れるような展示となるよう、お母さんや地元の写真も足しながら構成を考えていこう。
Vol.2 梶 瑠美花 「わたしのなかの彼女」 (レビュワー:野村恵子)
わたしは見たい――彼女たちの姿を。
わたしは聞きたい――彼女たちの語りを。
新型コロナウイルスが私たちの生活を脅かし始めたころ、九州で医療従事者として働いていた私は、SNS上での繋がりだけでは満たされないものを感じ、自分を見失っていました。ついには仕事を辞め、それからは毎週のように見知らぬ女性たちに会い続けることにしました。
SNSで繋がった彼女たちが選ぶ場所で共に過ごす時間。親しい間柄ではないからこそ、表出できるものもあるのだろうか。抑圧された世界から解放されるたび、私たちは少しだけ自己を取り戻すような経験をする。
この相互作用が、撮るものと撮られるものの間だけに留まらず、さらなる外側へと続いていくことを願っています。
<野村恵子 選評>
未完成ながら面白く、広がりを感じる。初対面の人と会い、コミュニケーションし、彼女たちの世界に入り込んで撮るという意欲に圧倒された。展示に向けて客観的にセレクトしながら、もう少し撮り足していくとさらに良くなる。誰もが抱える心の闇と彼女らの輝きを表現できるよう、モノクロの階調を最大限に生かせる作品に仕上げていってほしい。
Vol.3 鎌田 三四郎 「影を遺す」 (レビュワー:小林紀晴)
この作品では、記憶と場所を結びつける行為を視覚化しています。いずれ取り壊される祖母の古民家に、古い家族写真を用いることで自分のルーツを明らかにし、自身の身体や記憶、そして祖先の魂が土地やそこにある家具などに存在していることを写真作品で証明しようと試みました。
2020年のコロナ禍で、私は祖父と曾祖母を亡くしました。簡素化された葬式で、親族の死が自分と全く関わりがないような、あっけない感覚を覚えました。同時に自分のルーツを感じさせてくれる彼らの存在が自身と引き離されていくような恐怖を感じました。
私が今回の表現を選んだのは、記録写真は実体のある物的証拠であり、かつてそこにいた人たちの死や消失を想起させる素材になっていると考えたからです。これらの行為により、家族の記憶に対して訪れる消滅への抵抗と、自分にとってそれらを受け入れるための儀式となっています。
<小林紀晴 選評>
過去の写真と今の風景との組み合わせの中に、さまざまな工夫と試みがあり、興味深い世界を創り出している。展示に向けて、写真の配置の「必然性」を意識した上で、全体を改めて見直し、風景としての素材を撮り直すなどして、さらなる表現の可能性を模索してほしい。
Vol.4 和佐 阿佑美 「1/2」 (レビュワー:公文健太郎)
泉北ニュータウンという、50年余前に開発された土地に、結婚を機に住んでいます。 C.A.ペリーの『近隣住区論』をもとに計画されたというこの街は、いい意味で空っぽです。ほどよく自然があり、忙しない日常とは反対に、時間が止まっています。田舎育ちの私には心地よく、新参者を優しく受け入れてくれました。
子供を産み育てるのは、不思議な行為。 赤子のころは「お母さん似だね」と言われることが多かったけれど、大きくなるにつれ夫に瓜二つ。一方で性格は、嫌なくらい私に似ている。遺伝子の半分は私で、もう半分は夫なのです。
幼児から少女に変わりゆく今、妙な恐ろしささえ感じています。これからどのような表情を見せてくれるのだろうか。家族の見えない繋がりを追いかけるように記録しています。
<公文健太郎 選評>
家族や子供という身近な存在を捉えながら、ニュータウン政策の光と影という社会的テーマにまで切り込もうとする着眼点が良い。作品一点一点の質も高い。今後、客観的にセレクトし直し、周辺環境を表す写真も入れながら構成していってほしい。
アワード展について
企画展名 |
富士フイルムフォトサロン 若手写真家応援プロジェクト ポートフォリオレビュー/アワード 2024 |
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開催期間(予定) |
2025年3月21日(金)~4月10日(木) 富士フイルムフォトサロン 東京 2025年4月25日(金)~5月8日(木) 富士フイルムフォトサロン 大阪 ※ 写真展はやむを得ず、中止・変更させていただく場合がございます。ウェブサイト・電話でご確認ください。 |
入館料 |
無料
※ 企業メセナとして実施しており、より多くの方に楽しんでいただくために入館無料にしております。 |
アワード受賞者 | 赤堀 あゆみ、梶 瑠美花、鎌田 三四郎、和佐 阿佑美 (五十音順・敬称略) |
レビュワー(審査員) | 写真家 浅田政志、公文健太郎、小林紀晴、野村恵子 (五十音順・敬称略) |
主催 | 富士フイルム株式会社 |
企画協力 |
株式会社コンタクト
デジタルカメラマガジン編集部 |
アートディレクション | 長尾敦子 (Book Photo PRESS) |