富士フイルムが運営する写真展(東京・六本木)

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富士フイルムが運営する写真展(東京・六本木)

ポートフォリオレビュー/アワード 2025
受賞者紹介

Vol.1 小野 陽平 「島のかたち」 (レビュワー:公文健太郎)

写真展概要

たまたま訪れた島を約10年にわたり追い続けた“島のかたち”。岩肌をむき出しにした山から切り出された石は、遠く離れた場所でかたちを変えて、都市の暮らしを支える基盤として生き続ける。島の地形が変わっても、そこに息づく営みは脈々と続いていく。

出展者コメント

ひょんなきっかけから滞在することになったこの島には、これまで見たことのない風景が広がっていた。
かつて山だった場所は途中で大きく途切れ、削られた岩肌がそのまま露出している。しかし、この島はただかたちを失っていくわけではない。ここで切り出された石は、私たちの暮らしを支える都市の基盤として、いまも別の場所で存在を続けている。
そして島には、環境が大きく変わった今も、土地とともに生きる人々の時間が静かに流れていた。変わりゆく地形と続いていく営みが、この島のかたちを形づくっている。

公文健太郎コメント

島で出会った採石場の風景が、都市集中型となった現代社会を象徴するのではないかという思いから作られた作品。暴力的な光景を美しく捉えたことでより私たちに語りかけてくれるものがあります。一方で島と都市という単純な二つの要素に集約するのではなく、そこにある島民の思いや、暮しを知ることができたなら、単純には割り切ることができない社会の構造が見えるのではないか。またそこで小野さんが感じたことが素直に表現されることで唯一無二の作品ができるのだと思います。

[Image]小野 陽平/公文健太郎

プロフィール

[Image]小野 陽平

小野 陽平 (おの ようへい)

1992年栃木県生まれ
2017年東京綜合写真専門学校 卒業、渡辺兼人ワークショップに参加
2018年個展「紅い花を食らう」(musée f)
2019年個展「migraine aura」(musée f)
グループ展「第1回 渡辺兼人WS展」
日本デザインセンター画像制作本部 作品展“再生”
2022年グループ展「第2回 渡辺兼人WS展」

現在は(株)日本デザインセンター 深尾映像研究室にフォトグラファーとして在籍する傍ら、作家活動を行う。

Vol.2 千馬 聖司 「ざわめきの肖像」(レビュワー:小林紀晴)

写真展概要

生まれ故郷でもあり、現在も生活の場である高松。夜の訪れとともに日中の社会的規範は曖昧になり、解放された新たな街の姿が立ち現れる。“知っているはずの街”を再発見するスナップは、同時に新たな自分を発見する行為にもつながっている。

出展者コメント

ブルーハーツが聴こえてきた夜、通り過ぎゆく人波の中で、彼はひとり歌い続けていた。
なぜここで歌っているのか。
その問いは、自分自身へ返ってくる。
夜が深まるほど、社会的な役割は遠のき、街も人も自分も少しずつ解放されていく。
歌に引き寄せられるように、夜の街に惹かれていく自分に気づいた。
夜の街にカメラを向けるたび、“知っているはずの街”という認識は揺らぎはじめる。
高松は生まれ故郷であり、今も住み続けている街である。
しかし、そんなルーツと直結した街をスナップしている時にこそ、自分は本当の意味で社会と繋がっているように感じる。
それは、自分の中にある別の面にふれる行為でもあった。

小林紀晴コメント

昨年の応募時よりレベルアップしている。人物を撮った写真は、会話が聞こえてくるようで良い。「昼と夜の2面性」を露呈させるために、もうひとりの自分(の入った写真)や高松らしい写真など、自分との関係性を増す何かを、さらに撮り足すとよくなると考え、カメラを変えてみること、さらにスナップではなく、街の人としっかり対峙したポートレートを増やすことを提案した。それにご本人が時間をかけて挑戦したことにより、さらにレベルが向上して、作品の方向性がしっかりして強度が増してきた。

[Image]千馬 聖司/小林紀晴

プロフィール

[Image]千馬 聖司

千馬 聖司 (ちば せいじ)
1984年 香川県生まれ

予備校時代に父から譲り受けた古いカメラを手にしたことがきっかけで写真に興味を抱く。大学卒業後はいったん写真から離れるが、2022年から写真家・石川直樹氏が講師を務めるフォトアーキペラゴ写真学校を受講し、写真活動を再開。
以降、地元・高松を中心に街角のスナップを主軸とした作品づくりを続けている。

Vol.3 付 超 「路傍のタニシ」 (レビュワー:藤岡亜弥)

写真展概要

光に惹かれ撮影を続けてきた作者が、新たに取り組んだのはセルフポートレート。郊外をカメラを携えて歩き、まるで路傍のタニシのように風景へ溶け込む。そこに生じる“小さな違和感”とともに、シャッターを切り続けた。

出展者コメント

昼間は半透明の影のように郊外を漂い、私は写真や太陽、路傍のタニシとともに存在する。そして、そこでもここでもない空間を歩き続ける。

藤岡亜弥コメント

最初の作品には、殻に閉じこもりシリアスに外界を見ているような独特の視点と光の捉え方があった。写真技術があり、すでに自分のスタイルができあがっているので、それを崩すことはフさんにとって大きなチャレンジになる。他者とのコミュニケーションが苦手で、人を撮ったことがないというフさんが、コミカルなセルフポートレートに挑戦する。作品も自分も変化していくための七転八倒。まさにこの企画に合っていると思う。

[Image]レビュワー:付 超/藤岡亜弥

プロフィール

[Image]付 超

付 超 (ふ ちょう)

1993年中国・四川省生まれ
2021年来日
2023年第三回ふげん社写真賞 ファイナリストに選出
2024年東京造形大学大学院 デザイン研究領域 写真コース 修了

大学卒業後は北京で4年間、建築書籍のデザイナーとして真面目に働く。しかし気づけば「写真が撮りたい」という気持ちがすべてを上回り、写真を学ぶために日本へ。いまは、ほぼ“撮るために生きている”ような日々を送っている。

Vol.4 藤田 エイミ「合わない靴で来ちゃったみたい」 (レビュワー:本城直季)

写真展概要

多国籍なルーツを持つ外国人として日本で生きてきたこと、父親の死に向き合えなかったこと。そのような自分を見つめるために撮りはじめた写真だが、そのセルフポートレートや日常スナップには、“合わない靴を履きながら歩き続けている”ような距離感が写し出されている。

出展者コメント

私が撮るセルフポートレートは、他人が撮ったようだと評される。自分の人生がどこか自分のものじゃないような感覚が、写り込んでいるからなのかもしれない。
たとえば日本で生きる外国人として、異分子であることを意識しながら生きてきたこと。父の死を直視することを避けてきたこと。自己疎外をしてしまう自分に向き合いたくて写真を撮っている。それは合わない靴を履きながらも、歩き続けることに少し似ている。

本城直季コメント

作品のストーリー性が良い。スナップ・セルフ・ポートレートの境目が上手く表現できている。
何通りにも構成できる作品なので、展示に向けて、たくさんの答え(写真と言葉)の中から整理し、自然とセレクトできるものを選んでいくとよい。

[Image]藤田 エイミ/本城直季

プロフィール

[Image]藤田 エイミ

藤田 エイミ (ふじた えいみ)
1993年 神奈川県生まれ、米国と韓国にルーツを持つ
2020年より写真表現中村教室に在籍、小宮山桂氏に師事

仕事で簡単な写真撮影をする必要があったことから写真を学び始め、表現としての写真に興味を持つようになる。現在はセルフポートレートに強い関心があり、玄関先でその日の服装を撮影するシリーズの制作も進めている。