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相原正明氏インタビュー 相原正明写真展 「しずくの国 Spirit of Nippon」
©Masaaki Aihara
2013年10月4日(金)~10月10日(木)まで開催される相原正明写真展 「しずくの国 Spirit of Nippon」について、相原正明氏にインタビューいたしました。
相原正明写真展 「しずくの国 Spirit of Nippon」
――まず、相原正明さんというとオーストラリア、タスマニアというイメージですが、今回の写真展は日本ということで、そのあたりの、きっかけや経緯をお聞かせ下さい。
相原 きっかけは2つあります。一つはオーストラリアから帰国する飛行機は必ず夜明けの日本列島の上を飛びます。その時に窓から見える湿度感の美しさに目を奪われました。これは世界で一番乾燥した大陸オーストラリアで多くの時間を過ごしたからこそわかることです。もう一つはオーストラリアで初の個展をしたとき、現地のキュレーターから、「日本人の持つ『和』の世界観が自然とあなたのDNAに入っているので、その世界観でいまいちど自分の祖国を見ると新しい発見があるかもしれない」と言われたことです。
――実際に撮影されて、新たに感じたことや、気づきはありましたか。
相原 これほどまでに季節の移ろいが繊細なのかと驚かされたこと。そして梅雨の景色がこれほどまでに美しいのかということ。また静かな穏やかな景色の中に凛としたものがあるということです。
――相原さんは富士フイルムの機材を良く使っていただいておりますが(笑)今回はどのような機材を使用されたのですか?
相原 まず当然フィルムです。ベルビア50とアスティア100F。色の強いものはより強く、柔らかいものはより柔らかく発色させる意味合いでこの2つのフィルムです。アスティアが無くなってしまったのは少し残念です。
このフィルムをGF670Wで使います。新設計のレンズはとてもメリハリがあり、また自然な描写と緻密な再現力が好きです。デジタルはX-Pro1がメインでX-E1も使います。特にレンズは14mmと35mmが好きです。14mmのワイドだけど自然なパースペクテイブ、35mmのボケ味も好きです。特にフィルムシュミレーションのASTIAモードをよく使います。
―― 撮影地の中で一番思い入れのある場所はどちらでしょうか?
相原 難しいですね、やはり今回のメインの作品が撮れた大台ケ原か北海道の網走付近ですね。
―― 今回の写真展で、お客様に見ていただきたいポイントをお聞かせ下さい。
相原 今回の写真展は日本の風景写真展ではなくユーラシア大陸の東の島国を通じての地球のポートレイトという点を見ていただきたいのが一番。これは世界最古の大陸オーストラリアを撮影するときと同じです。
またデジタルの時代になり、写真を見るというより作品のデーターやテクニカル的なことを見るお客様が増えています。今回はそのようなことよりも1枚の絵としてどう感じるかを見ていただきたいと思います。
とくに間の取り方と空気感。個人的にアーティストで一番尊敬するのが江戸初期の絵師 長谷川等伯、特に彼の「松林図屏風」その世界をめざし日本の風景を撮影しています。その和の世界の美しさ、そして日本の風土の美しさを感じていただければと思います。
©Masaaki Aihara
1958年東京都出身。日本大学法学部新聞学科卒業。学生時代から写真を始める。卒業後、広告代理店に勤務。1988年に退社後、オートバイによるオーストラリア単独撮影ツーリングに向かい、彼の地にて大陸とネイチャーフォトの虜になる。撮影ではホテル等は使わず、必ず撮影場所でキャンプして大陸と一体に成ることを、心掛けている。日本人としてはじめてオーストラリアでの大型写真展をオーストラリア最大の写真ギャラリーウィルダネスギャラリーで開催して以来、世界各地で写真展開催。現在オーストラリア タスマニア州政府フレンズ・オブ・タスマニア(親善大使)の称号を持つ。2008年ドイツ・フォトキナ富士フイルムブースでの個展をはじめ海外での個展も多数。