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9月のレビューの様子(1)
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9月のレビューの様子(2)
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ファイナリストレビューは
レビュワー4名で実施
ポートフォリオレビュー/アワード 2025 今年度のアワード受賞者4名が決定!
富士フイルムフォトサロン 若手写真家応援プロジェクト
<アワード展 開催期間>
2026年3月13日(金)~4月2日(木)
富士フイルムフォトサロン 東京(フジフイルム スクエア内)
2026年4月24日(金)~5月7日(木)
富士フイルムフォトサロン 大阪
ポートフォリオレビュー/アワード 2025
アワード受賞者の作品
本企画について
「ポートフォリオレビュー(*1)/アワード」は、国内外で活躍する写真家をレビュワー(*2)(審査員)に迎え、45歳以下の写真家・写真家を志す方から募集した作品を講評。受賞者4名に対し、写真展開催へ向けたアドバイスや、展示作品などの制作費100万円相当をサポートする企画です。
*1 ポートフォリオレビュー:作品講評会(以下レビュー)
*2 レビュワー:講評する講師(著名写真家)
今回は、写真家 公文健太郎氏・小林紀晴氏・藤岡亜弥氏・本城直季氏をレビュワーに迎え、9月に一次選考を通過した48名に対し、オンラインでレビューを実施。参加者1人1人が作品に対する思いや悩んでいる点などを伝え、それらに対しレビュワーが丁寧にアドバイスを行いました。
10月には二次選考を通過した12名に、対面式でファイナリストレビューを実施。12名は前回のアドバイスを反映させた作品・写真展への熱い思いなどをプレゼンし、レビュワーたちが、写真展を見据えた具体的なアドバイスを行いました。
そして、最終選考を経て、アワード受賞者4名が決定しました。
今後、受賞者たちは、各レビュワー・企画者のサポートを受けて作品をレベルアップさせ、富士フイルム協力のもと作品制作を進めていきます。
詳細は後日、写真展開催のリリースにてご案内します。受賞者たちがどのように写真展を作り上げていくのかを楽しみにお待ちください。
アワード受賞者紹介 (五十音順・敬称略)
Vol.1 小野 陽平 「島はかたちをやめていく」 (レビュワー:公文健太郎)
©Yohey Ono
瀬戸内海に位置する男鹿島では、長年にわたって採石が行われてきた。
山は削られ、岩は砕かれ、都市の資材として島の外へと運ばれていった。島の地形は大きく変形し、その大部分はすでに元々の形をとどめていない。かつて山頂には祈りの場が存在し、島の人々にとって山は信仰の対象であった。しかし、採石が進むにつれて、その場所も失われ、祈りは別の場へと移されていった。島が「かたちをやめる」ということは、物質的な解体にとどまらない。それは、かつて付与されていた象徴や意味が静かに消滅していく過程でもある。
この写真群は、島がひとつの「場所」としてのまとまりを失い、素材へと変換されていく途中にある状態を記録している。断ち割られた岩肌や積み上げられた石は、かつて神体であったものの断片として写し出される。
作品はすべて、35mmフィルムで撮影している。プリント時に引き伸ばした画像に現れる粒子は、島が岩から石へ、石から砂へと変化していく過程と重なり合う。粒子は、かつてかたちを持っていたものの最終的な姿として、画面に静かに残されている。
<公文健太郎 選評>
採石場にある岩・石の造形美や、島の背景(文化・信仰)の移り変わりをよく捉えている、社会的なテーマ。展示に向けて、採石場だけでなく島の人々の写真など、その場所の持つ意味を増す「象徴的なもの」も足して構成していってほしい。
Vol.2 千馬 聖司 「もうひとつの高松」 (レビュワー:小林紀晴)
©Seiji Chiba
普段は公務員として働きながら、通勤や休日に高松の街を撮っている。
生まれ育ったこの場所を撮り続けるうちに、風景そのものよりも、そこでの自分の感覚や変化に目が向くようになった。
ある時、昼と夜で写真の視点や撮り方が変わっていることに気づいた。昼は社会的な役割を意識し、どこか構えたままシャッターを切っている。夜はその意識が少しゆるみ、街や人、自分自身の輪郭がやわらかく感じられることがある。
この作品では、昼と夜のあいだに見える感覚の違いを通して、ひとつの街に重なる「もうひとつの高松」を見つめている。
それは、自分の中にある別の面にふれる行為でもあった。
<小林紀晴 選評>
昨年の応募時よりレベルアップしている。友人を撮った写真は、会話が聞こえてくるようで良い。
「昼と夜の2面性」を露呈させるために、もうひとりの自分(の入った写真)や高松らしい写真など、自分との関係性を増す何かを、さらに撮り足すとよい。
Vol.3 付 超 「光の仙境 Sunshine Fairyland」 (レビュワー:藤岡亜弥)
©Fu Chao
私がこの光の王国に足を踏み入れると、周りのものすべてが新たな魂を与えられたかのように見えた。
もともと時間に飲み込まれてしまっていたものが、光に触れて命を吹き込まれる。
いずれ消えてしまうようなものであっても、その瞬間だけは時間の侵蝕から逃れたかのようになる。
そして、私はそれによって救済されるのだ。
<藤岡亜弥 選評>
独特な色合い・光の捉え方が、怖く感じさせるのも面白い。写真技術があり、GFXフォーマットでの切り取り方も緊張感があってよい。
展示を意識した作品の見せ方に変える・スタイルを崩すなど、さらなる成長に期待している。
Vol.4 藤田 エイミ 「宇宙飛行士の娘」 (レビュワー:本城直季)
©Eimi Fujita
19歳の時、父が公園のベンチで死んだ。
酒に溺れ、徐々に社会性を失って壊れていく父を見ていた思春期だった。それは、宇宙飛行士が命綱から手を放してしまい、宇宙空間へと消えていくさまを思わせた。
父に似ていると言われて育った私は、父のようになるのではという恐怖に取り憑かれた。いつか私も自暴自棄になったとき、自ら綱を手放してしまうんじゃないか。
でも、たとえそうなってしまっても、私を掴んで引き戻してくれる人たちがいる、と最近では少し思える。
<本城直季 選評>
作品のストーリー性が良い。スナップ・セルフ・ポートレートの境目が上手く表現できている。
何通りにも構成できる作品なので、展示に向けて、たくさんの答え(写真と言葉)の中から整理し、自然とセレクトできるものを選んでいくとよい。
アワード展について
| 企画展名 |
富士フイルムフォトサロン 若手写真家応援プロジェクト ポートフォリオレビュー/アワード 2025 |
|---|---|
| 開催期間(予定) |
2026年3月13日(金)~4月2日(木) 富士フイルムフォトサロン 東京 2026年4月24日(金)~5月7日(木) 富士フイルムフォトサロン 大阪 ※ 写真展はやむを得ず、中止・変更させていただく場合がございます。ウェブサイト・電話でご確認ください。 |
| 入館料 |
無料
※ 企業メセナとして実施しており、より多くの方に楽しんでいただくために入館無料にしております。 |
| アワード受賞者 | 小野 陽平、千馬 聖司、付 超、藤田 エイミ (五十音順・敬称略) |
| レビュワー(審査員) | 写真家 公文健太郎、小林紀晴、藤岡亜弥、本城直季 (五十音順・敬称略) |
| 主催 | 富士フイルム株式会社 |
| 企画協力 |
株式会社コンタクト
デジタルカメラマガジン編集部 |
| アートディレクション | 長尾敦子 (Book Photo PRESS) |