富士フイルムが運営する写真展(東京・六本木)

  • 利用案内
  • 写真展・イベント
  • フジフイルム スクエアについて
JP / EN

富士フイルムが運営する写真展(東京・六本木)

[Image]立木義浩写真展「舌出し天使 CONTACT SHEETS – 眼差しの軌跡 –」

「舌出し天使」 CONTACT SHEET ©YOSHIHIRO TATSUKI

立木義浩写真展
「舌出し天使 CONTACT SHEETS – 眼差しの軌跡 –」

フジフイルム スクエア 写真歴史博物館 企画写真展

2025年1月6日(月)~3月26日(水)(最終日は16:00まで)

写真歴史博物館

SHARE

見どころ

1965年、『カメラ毎日 1965年4月号』に掲載され、立木義浩の名を一躍スターダムに押し上げた「舌出し天使」。本展のために本人が新たにセレクトしたゼラチンシルバープリント25点とともに、本作のコンタクトシート約25点を初公開。60年の時を隔てて初めて公開されるコンタクトシートから、若き立木義浩が何を見、何を感じてシャッターを切ったのか、その眼差しの軌跡を感じていただくことができます。

写真展について

フジフイルム スクエア 写真歴史博物館では、87歳の今も精力的に活躍する写真家立木義浩が27歳で発表した傑作、「舌出し天使」の発表から60年を記念した展示を行います。本展のために立木自身が新たにセレクトしたゼラチンシルバープリント25点とともに、同作のコンタクトシート*1 約25点を初公開。

撮影は高度経済成長のただ中にあった1964年。当時立木は、広告制作会社アド・センターの社員フォトグラファーとして、アパレルの広告や『週刊平凡』『平凡パンチ』など新進の雑誌を舞台に活躍していました。

その立木に目をつけたのが『カメラ毎日』誌の編集者・山岸章二です。新時代の写真の動向に敏感だった山岸は、「ノーギャラだが何をやっても自由」という条件を若き写真家に提示します。アメリカ人の父親を持つ当時17歳のモデル山添のり子を被写体にアドリブとセットアップを交差させた、写真だけが作り得るストーリー「舌出し天使」はこうして生まれました。『カメラ毎日』1965年4月号に異例の56ページにわたり掲載されるや、同作は日本写真史に刻まれるセンセーションを巻き起こします。

街に放たれて動きまわる少女との撮影は、まるで自由闊達なセッションのようだったといいます。200枚ほどのプリントからこの誌面を写真集のごとく構成したのは、イラストレーターの和田誠でした。解説を担ったのは評論家の草森紳一。そして歌人で劇作家の寺山修司が写真に詩を添えました。最終ページ、舌を出したポートレート写真をモデル自らが掲げた雪のシーンから着想されたタイトル「舌出し天使」も寺山の案でした。

コンタクトシートはフィルムに残された撮影順の画像を一枚にまとめたプリントです。いわゆる「OKカット」を選ぶ際に用いられ、通常、それ自体が公開されることはありません。それは言い換えれば、作家と被写体が創り上げた時間、その取り組み、足どり、息づかいを伝える瑞々しい記録です。多彩なシーンと移り変わる表情から、どうぞ若き日の立木義浩の眼差しの軌跡をご覧ください。

*1 コンタクトシート:白黒やカラーの写真フィルムのネガ像の現像仕上がりの状態を、ポジ像に反転させて確認するため、1本分のフィルムを、4~6本に切り分けて1枚の印画紙上に並べて密着させ、等倍でプリントしたもの。「ベタ焼き」「密着焼き」などとも呼ばれる。

夢を見ている時、いくら奇妙であっても私たちは波間に漂うイカダのようにただ運ばれていくにすぎないが、この「舌出し天使」のページも波間のイカダのようにめくっていきたい。少女が星条旗をからだにまきつけて魔法使いよろしくほうきにまたがっても、決して文明批判などと考えないでほしい。夢の観客であってほしい。立木義浩も夢の運転者であると同時に観客なのだ。この写真集の新しさはそこにある。これは従来の数々の主観写真、心象写真などともちろん異なっている。彼は、写真が文学や絵画の弾力を受けないこと、つまり象徴におちいりがちなセンス(意味)と構図の魅惑を一応放棄したのだ。また一般には写真の本質とは、記録性・報道性であるという神話がある。というよりそれは、母の懐みたいなものだ。立木はセンスを放棄することによりこの懐(記録性)にも接近した。これは一群のフォト・ストーリーのよき仲間ではない。そう見えなくもないのは、1人の少女におこった肉体と心理のメカニズムの遭遇を連続して記録しているからだ。故意を避ける姿勢であり、このナンセンスとの集中的めぐりあいは、ストーリーというよりドキュメントなのだ。この少女がいかにユーモラスで悲しげであっても彼女のせいではなく、27才の立木義浩のある決算報告であり、ヤケドの跡なのだ。

— 草森紳一、立木義浩「舌出し天使」解説、『カメラ毎日』1965年4月号

プロフィール

[Image]立木 義浩

立木 義浩 (たつき よしひろ)

1937年、徳島県生まれ。58年、東京写真短期大学(現・東京工芸大学)技術科卒。アド・センター設立時にフォトグラファーとして参加。65年『カメラ毎日』で「舌出し天使」を発表。69年、フリーランスに転身。以降、女性写真の分野を中心に多くの著名人を撮影。同時に世界中でスナップ写真を日常的に撮り続ける。広告・雑誌・出版など幅広い分野で活動。主な受賞に、日本写真批評家協会新人賞、日本写真協会賞年度賞、日本写真協会賞作家賞、文化庁長官表彰など。『イヴたち』『GIRL』『私生活/加賀まりこ』『MY AMERICA』『家族の肖像』『東寺』『KOBE・ひと』『ありふれた景色』『小女』『Tōkyōtō』『Yoshihiro Tatsuki 1~8』『étude』『動機なき写真 just because』『舌出し天使』『SNAP 20C』『Afternoon Paris』など写真集多数。

写真展概要

企画展名 フジフイルム スクエア 写真歴史博物館 企画写真展
立木義浩写真展「舌出し天使 CONTACT SHEETS – 眼差しの軌跡 –」
開催期間 2025年1月6日(月)~3月26日(水)
開館時間 10:00-19:00(最終日は16:00まで、入館は終了10分前まで) 会期中無休
会場 FUJIFILM SQUARE(フジフイルム スクエア) 写真歴史博物館
入館料 無料

※ 企業メセナとして実施しており、より多くの方に楽しんでいただくために入館無料にしております。

作品点数 モノクロ25点 、コンタクトシート約25点(予定)
主催 富士フイルム株式会社
企画 テンポラリー・コンテンポラリー

※ 写真展はやむを得ず、中止・変更させていただく場合がございます。予めご了承ください。

写真展併催イベント

スペシャルギャラリートーク

日時 2025年1月12日(日)・2月16日(日)・ 3月15日(土)
各日 13:00~13:30

参加無料・予約不要

会場 フジフイルム スクエア 写真歴史博物館
ゲスト 立木義浩(写真家)
聞き手 木本禎一(テンポラリー・コンテンポラリー)
内容 「駆け抜けた、舌出し天使の時代」

※ 座席はございませんので、予めご了承ください。
※ イベントはやむを得ず、中止・変更させていただく場合がございます。予めご了承ください。

写真展一覧

写真歴史博物館

~ 190年を越える写真の変遷を中心とした展示 ~

貴重なアンティークカメラや富士フイルムの歴代カメラの展示に加え、歴史的に価値のある写真を展示する企画展も定期的に開催しております。写真の文化、カメラの歴史的進化をご覧いただける希少価値の高い博物館です。190年を越える写真文化の変遷をぜひお楽しみください。

MECENAT
写真歴史博物館は、2024年、公益社団法⼈企業メセナ協議会より、「芸術・⽂化振興による社会創造活動」として「THIS IS MECENAT 2024」の認定を受けております。