初沢 亜利 (はつざわ あり)
第30回受賞作の「東京 二〇二〇、二〇二一。」(初沢亜利)は、新型コロナウイルス感染症に見舞われた2年間の東京を捉えた写真集です。目に見えないウイルスを写真家はどう捉えたのでしょうか。作者は都下のあらゆる場所へ赴きシャッターを切りました。人通りの途絶えた町並や広場、中止になったイベント。撮影された1コマ1コマは、パンデミック下の巨大都市を俯瞰的に描き出しています。そして同時に、その根底に潜む人々の感情や社会不安といったものも伝えています。この作品は、今後新型コロナウイルス感染症が終息し、その記憶も薄れた頃、当時の東京、日本の姿を赤裸々に伝える、まさに時代を映す写真となるでしょう。