入江 泰吉
Irie Taikichi
1905年、奈良県奈良市に生まれる。画家を夢見ていたが、家族の反対に遭い、17歳の頃から長兄より譲り受けたカメラで写真をはじめる。1931年、大阪鰻谷[うなぎだに]に写真店「光藝社」を開く。1945年3月、大阪大空襲で自宅兼店舗を焼失、故郷の奈良へ引き揚げる。同年、奈良の仏像がアメリカに接収されるとの噂を聞き、写真に記録することを決意。以来、奈良大和路の仏像や風景、伝統行事の撮影に専念し、1964年頃からはカラー撮影を主として作品を撮り続け、奈良大和路のイメージを広く世間に浸透させた。『大和路』(東京創元社、1958年)をはじめ、『入江泰吉写真全集』(全8巻、集英社、1981年)など数多くの写真集を刊行。第24回菊池寛賞、勲四等瑞宝章など受賞、受章多数。1992年1月16日、86歳で逝去。同年4月、全作品を寄贈した奈良市写真美術館(現 入江泰吉記念奈良市写真美術館)開館。2015年3月、往時の面影を残す水門町の自宅が「入江泰吉旧居」として開館した。