富士フイルムが運営する写真展(東京・六本木)

  • 利用案内
  • 写真展・イベント
  • フジフイルム スクエアについて
JP / EN

富士フイルムが運営する写真展(東京・六本木)

高座から客席をのぞむ。後方には椅子が2席だけ並んでいる
通称“カップルシート”がある 協力:鈴本演芸場

落語ライフのすすめ
人生に落語を搭載しよう
~月刊演芸専門誌『東京かわら版』編集長佐藤友美氏に聞く~

SHARE

2022.03.15

落語とは

  • 落語とは、演者が座布団の上にただ一人、座って話をする、究極にシンプルな芸です。

    落語家が語り、紡ぐ世界を、聴き手は自分の脳内に自由に像を描き、楽しみます。落語を聴くとき、 経験値が高いと脳内の解像度が上がります。はるか昔、落語は高齢者の趣味だと思われていた時代がありました。でもそれは人生の経験値が多い人ほど落語に共感できたからかもしれません。もしかしたら──今流行りの言葉でいえば──“共感力”を鍛えるのにもぴったりな娯楽なのでしょう。
    落語の元となるものができたのは、安土桃山時代。それから何百年もの間、落語が廃れずに令和の今も愛されているのはなぜでしょう。落語を聴くと、そこに立ち現れるのは主に江戸時代の人々ですが、今を生きる私たちと同じ感情がそこに息づいています。時代や設定は違えど、人間の持つ普遍的な感情はさほど変わらないのではないでしょうか。だからこそ、私たちは落語を聴いて、笑ったり涙ぐんだりするのです。

さらに面白いことに、落語は演者ひとりでは成立しません。演者と観客の間で相互に阿呍の呼吸でやり取りがキャッチボールのようになされ、そこに一体感が発生します。つまり、落語とは、演者と観客が一つにまとまって作り上げる芸能なのです。ですから、同じ噺を同じ演者で聴いても、ひとつとして同じものはありません。そのライブ感にわくわくします。

生で聴いてみる

  • 落語が生で聴きたくなったら、寄席(よせ)やホールで開催している落語会に行ってみましょう。寄席とは、落語や講談、浪曲など、様々な演芸を楽しむ興行場です。寄席は、東京では新宿、池袋、上野などにあり、だいたい毎日やっています。コロナ禍ゆえ、今は飲食は禁止されているところもありますが、通常は食事しながら気軽に楽しめます。 次から次へといろんな演者が出てきて、楽しませてくれたりくれなかったり(!)します。昼の部と夜の部があり、入れ替え制のところもそうでないところもあります。
    最前列でのめりこむように見てもいいし、後ろの方の客席に身を埋め、ぼんやりと楽しむのもあり。自分の都合でいつから入って、いつ帰ってもいいのも、忙しく生きる人にとって格好の娯楽ではないでしょうか。木戸銭(入場料)を払えば、いつも同じ場所でいつもと同じように落語を聴ける。観客をフラットに受け入れてくれる場所があるのって、いいものです。
    まずは、自宅や勤務先から近い場所に行ってみてもいいですね。機会があればぜひ一度足を運んでみてください。

いつも、そばに落語を

落語は、生で聴かなくてもいいんです(本当は生がいいけれど)。テレビでもラジオでも、インターネットでも楽しめます。ライブ配信の落語会もあります。忙しかったり落語を聴く気が起きないときは離れればいい。でも、いつでもまた戻ってこられる趣味です。数年ぶりに聴くと、若手が上達していて驚くような喜びもあったりします。若手の時から見ていると、だんだんベテランになっていく姿を見届けることができて、まるで人生の伴走者のようです。
また、落語は聴くだけでなく、落語家の写真を見るのも楽しいです。落語を知っていると、写真からより脳内でリアルに再生できます。落語を知らなくても、たださらさらと流れ去っていくはかない落語の一瞬を、写真は一番素敵なところを切り取って見せてくれるので、落語家の一挙手一投足が写真のフレームいっぱいに魅力があふれています。見ているうちにきっと落語を聴いてみたくなることでしょう。

落語とはどんなものか、生で聴くにはどうしたらいいのか、そして、生で聴く以外の楽しみ方についてご紹介してきました。
人生に、落語という趣味を加えてみてはいかがでしょう。決して損はしません。

フジフイルム スクエアでは、2022年3月4日(金)~3月17日(木)に企画写真展 昭和から令和まで高座撮影半世紀。落語写真家 横井洋司 写真展「噺(はなし)を写す」を開催。昭和・平成・令和にわたり高座を半世紀撮影し続けている横井洋司氏。その膨大かつ貴重な記録から厳選した作品を展示します。

プロフィール

佐藤友美 (さとう ともみ)

1974年創刊の月刊演芸専門誌『東京かわら版』編集長。東京都渋谷区恵比寿に生まれ育つ。浅草で旅館を営んでいた祖母の影響で幼少の頃より伝統芸能(歌舞伎、日本舞踊、相撲、邦楽)に親しむ。大学卒業後、愛読していた『東京かわら版』のアルバイト募集の記事を見て応募、入社。その後社員になり2004年より編集長。著書に『ふらりと寄席に行ってみよう』(辰巳出版)などがある。

[image]最新号の「東京かわら版3月号」は春に誕生する新真打4人の特集号