雲の種類は全部で10種類
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世界気象機関によれば、雲は全部で10種類。雲底高度と呼ばれる、雲が位置する高さによって上層雲・中層雲・下層雲に分類されます。
巻雲(すじ雲)
「すじ雲」の別名のとおり、空にすじが入っているかのように見える巻雲。上層雲の一つで、そのなかでも最も高いところに発生します。温度が低く、氷の粒でできているのが特徴の雲です。
ジェット気流が通り空気の流れが速くなる春や秋は、日本で巻雲が多く見られる季節。特に秋になると、偏西風の影響で透きとおるような、美しい繊維状の雲が楽しめますよ。
巻積雲(うろこ雲・さば雲・いわし雲)
巻積雲は、粒状の白い小さな雲がたくさん集まってできたもので、上層雲に分類されます。中層雲の一つである高積雲(こうせきうん)と似ていますが、手を空に向けて伸ばし、一粒の雲が小指で隠れる大きさなら巻積雲、隠れないなら高積雲と見分けることができます。
形が変わりやすいため、はっきりとうろこのような状態が見られるのはとても貴重。この雲は、春の初め、もしくは夏の終わりから秋にかけて見られます。
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巻層雲(うす雲)
巻層雲(うす雲)
空にベールがかかったように見える巻層雲。その存在に気づかないことも少なくないほど、とてもうすい上層雲です。
巻層雲が発生すると、太陽や月の周りにかさができるのが特徴。虹色に輝く輪が太陽や月を囲み、幻想的な姿を見せますよ。しかし「太陽がかさをかぶると雨」ということわざがあるように、この雲が見えるのは温暖前線が近づいている証拠でもあり、雨が降る前兆です。
高積雲(ひつじ雲)
高積雲は、たくさんのひつじが並んでいるように見えることから、「ひつじ雲」とも呼ばれています。一年中見られますが、特に秋ごろに発生しやすい中層雲です。
そのときどきによって雲一つ一つの大きさや形、密度が異なるため、ひつじだけでなく波のように見えたりレンズのように見えたりと、バリエーション豊か。雲のサイドから光が差す朝方や夕方は、格別に美しい景色が見られるでしょう。
高層雲(おぼろ雲)
厚い雲が広範囲に及び、空がくもりガラスで覆われたように見える高層雲。「高層」との名ですが、中層雲に分類されます。特に厚い高層雲が発生したときは、太陽が見えません。
高層雲からさらに厚い乱層雲へと変化すると、天気が悪くなる前触れです。本格的な雨が降り始めるサインなので、この雲を見たら注意しましょう。
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乱層雲(雨雲・雪雲)
乱層雲(雨雲・雪雲)
「雨雲」「雪雲」とも呼ばれる乱層雲は、雨や雪を降らせる可能性が高い雲です。温暖前線や低気圧などの湿った空気によって発生します。中層雲に分類されていますが、地上からたった数百mほどしかないこともしばしば。
グレーがかったとても厚い雲なので、太陽の光が遮られ日中でも暗くなってしまいます。ときおり、黒いちぎれ雲を伴うことも特徴です。
層積雲(くもり雲)
かたまり状やロール状の雲の層が広範囲に及ぶ、層積雲。別名「くもり雲」ともいい、中層雲に分類されますがはっきりとした特徴がありません。くもりの日に、どの種類の雲に当てはまるか判断がつかない場合は、層積雲と考えてよいでしょう。
層積雲が平たい形に変化したときや、雲のすき間から青空が見えるときは、悪天候の心配はありません。しかし、厚さが増したり筒状の雲に変化したりした場合は、雨が降る可能性が高いので要注意です。
層雲(霧雲)
層雲は、地面が冷えているときに発生しやすい雲。最も高度が低い下層雲で、山や高い建物に霧がかかっているように見えるのが特徴です。日差しが強くなると、すぐに雲が消えてしまいます。
絶景として話題に登ることが多い雲海は、層雲の一種。また、地面に達した場合は霧と呼ばれます。
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積雲(わた雲)
積雲(わた雲)
積雲は、はっきりとした輪郭を持ち、綿菓子やシュークリームを思わせるモコモコとした形の低層雲です。雲といえば誰もが真っ先に思い浮かべる、最もポピュラーな雲の種類といえるでしょう。
地面が熱せられ、強い上昇気流が発生する夏には、モコモコと高さが増しカリフラワー状の積乱雲に。反対に秋に入って日差しが落ちつくと、お饅頭のような平たい形に変化します。また、水平方向に伸びて雲同士のすき間がなくなると、層積雲に変わることも。
積乱雲(雷雲・入道雲)
上層雲・中層雲・下層雲のいずれにも分類されない積乱雲。上昇気流によって積雲が発達し続けた非常に巨大な雲で、なかには背の高さが10kmを超えるものもあります。ほかの種類の雲と比べて大きさも厚さも圧倒的なので、すぐに見分けられるでしょう。
積乱雲は激しい雨や雷を伴い、ときには雹が降ることも。真夏の夕立やゲリラ豪雨の原因となるので、この雲を見かけたときは急な悪天候に注意しましょう。
珍しい雲の種類もたくさんある
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現在、世界気象機関で定義されている雲は10種類ですが、実は分類の仕方によってほかにもたくさんの種類があります。以下では、そのうちの一部を取り上げているので、ぜひチェックしてくださいね。
かなとこ雲
巨大な積乱雲がさらに発達した雲です。積乱雲の高さが対流圏にまで達すると、その上にある成層圏には行けず、対流圏界面にぶつかって雲の頂上部が水平方向に広がります。その雲の様子が金属加工に使われる「かなとこ(金床)」という道具に似ていることから、名づけられました。
レンズ雲
レンズ雲は、地形の影響で風が波打つことにより雲が発生します。凸レンズやさやえんどうを思わせる、楕円形が特徴の雲です。レンズ雲は上空の風が強いときに現れるため、強風が吹くサインであるともいわれています。
真珠母雲
成層圏にできる、幻想的なほどに美しい虹色の雲です。真珠母貝の一つであるアコヤガイの色に似ていることから、その名がつきました。主に北欧や極地などの高緯度地域で発生。オゾン層の破壊に関連している雲とも考えられ、今なお研究が進められています。
地震雲は実は迷信!?
「大きな地震が起きる直前には地震雲が現れる」といわれることがありますが、実は科学的な証明はなされていません。地震と雲は別の現象であり、地震が大気に影響を与えるメカニズムは解明されていないのが現状です。
大規模な地震が発生する直前に、たまたま変わった形の雲が観測されたことで、2つの異なる現象が関連づけられてしまったと考えられます。「関係がない」といい切ることはできないものの、現時点で地震雲について科学的根拠はないため、それほど心配する必要はなさそうです。
雲の写真をスマホで撮ろう
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せっかく雲を観察するなら、思い出や記録として雲を写真に残しておきたいものですよね。ここからは、スマートフォンで雲を撮影する際のコツを解説します。すぐに実践できる簡単な方法ばかりですよ。
なお、実にさまざまな種類がある雲ですが、いつでも見られるわけではありません。より気軽に見たいなら、フジフイルム スクエアの写真展がおすすめです。雲に限らず、雄大な山々や幻想的な星空といった風景写真を含め、さまざまなテーマの写真展が楽しめますよ。詳細は以下のページから確認してください。
太陽の位置を確認する
絵葉書のような清々しい青空のもとで雲を撮影したいときは、必ず太陽の位置を確認してください。太陽が被写体のサイドに位置する斜光か、被写体の正面に位置する順光がおすすめです。逆光で撮影すると白飛びしてしまうので、くれぐれも避けてくださいね。
ピントと露出の調整がカギ!
撮影時は、太陽の位置だけでなくカメラアプリの設定も大切です。日中の明るい青空を収めるなら、いつもより思い切って露出を下げてみましょう。白夜を思わせるロマンチックな雲の写真が演出できますよ。
また、オートフォーカスではなく、雲にピントが合うように画面をタップして調整してみてください。肉眼で見たそのままの、立体的な雲が撮影できるでしょう。
ほかの自然と一緒に撮ればより美しく
雲が浮かぶ青空はそれだけでも絵になりますが、山や海など、ほかの自然と一緒に撮影すれば、よりおしゃれな1枚が残せるでしょう。また、大空を優雅に羽ばたく鳥たちを被写体としてもよいかもしれません。
空をメインにしたり脇役にしたりと、構図を少し工夫するだけで、ありふれた雲の写真が、オリジナリティに富んだ素敵な1枚に早変わりします。
物を使えばユニークな写真も
一風変わった雲の写真にチャレンジしたい人は、身近にある小物を上手に使ってみましょう。たとえば、雲を歯磨き粉に見立てて歯ブラシと一緒に撮影したり、アイスクリームに見立ててコーンを添えてみたり。
特別なものを用意する必要はありません。気軽かつ自由な発想で、たのしい構図を生み出してみましょう。
雲の種類はたくさんある!美しい空を見に行こう
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一口に雲とはいっても、季節や気象条件によって実にさまざまな表情を見せます。ときにはゆっくりと空を見上げて、その瞬間に見える雲を観察してみてはいかがでしょうか。
壮大な自然が織りなす風景を気軽に楽しみたいなら、フジフイルム スクエアを訪れてみてはいかがでしょうか。年間を通じてさまざまな写真展を開催しており、なかには雲や満天の星、季節の山々、さらには野生動物たちなどをテーマにしたものもあります。お気に入りの作品を見つけに、ぜひ足を運んでみてくださいね。