立ち枯れの木とブルーの池が幻想的「白金青い池」(北海道)
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最初に紹介するのは、北海道・美瑛町の絶景スポット「白金青い池」。通称は「青い池」と呼ばれている人気観光地です。その名の通り水面が鮮やかな青みを帯びており、湖中から伸びる立ち枯れのカラマツとあいまって、ファンタジックな絶景を楽しめます。
青い池は、1988年に発生した十勝岳の噴火によって誕生した池です。火山の泥流から町を守るためにコンクリートブロックの堤防が造られ、その背後に流れる美瑛川から水が流れ込んだことで池ができました。浸水した木々が立ち枯れし、現在の景観を作りだしています。
また、青い池は季節や天候、時間帯、角度などの条件によって、さまざまな青色が楽しめる点も魅力です。初夏の鮮やかなライトブルー、春先は深みのあるグリーンブルー、雨上がりのミルキーブルーなど、何種類もの“青色”を楽しめます。
美瑛町のウェブサイトでは、見学に行くのは「午前中がおすすめ」と紹介されていますが、写真撮影なら午後がおすすめです。午前中は太陽光が逆光になるため白っぽく写ってしまい、肉眼で見ている鮮やかな色味を再現できません。太陽が高く昇る昼過ぎの時間帯のほうが、神秘的な青色を写真に収めやすいでしょう。
天候は、晴天がベストです。雨上がりだと水色が濁ったり、曇天だと池の色が暗く見えたりするので、天気予報をチェックしながら日程を決めるといいでしょう。
スノーモンスターと呼ばれる冬の名物「蔵王の樹氷」(山形県)
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続いて紹介するのは、東北を代表する景勝地・山形蔵王で冬季のみ見られる絶景「蔵王の樹氷」です。
樹氷は、蔵王特有の気象条件と植生によって作り出されます。蔵王連峰に生息する針葉樹の「アオモリトドマツ」の枝や葉に、日本海側から吹く季節風によって運ばれた氷の粒が着氷し、雪を取り込んで固まることを繰り返して、大きく成長したものです。氷雪が樹木を覆って白い巨像となった姿が、まるで怪物のように見えることから「スノーモンスター」とも呼ばれています。
樹氷は11月ごろから成長を始め、最盛期を迎えるのは1月下旬~2月下旬です。1~2月の蔵王は晴れる日が少なく、平均気温はマイナス10~15度、平均風速10~15m/sの西風が吹く吹雪の世界となります。このような特有の気象条件の中で樹氷が大きく成長し、「蔵王樹氷群」と呼ばれる景色を作り出すのです。
樹氷を撮影するなら、快晴の日がおすすめです。真っ白な樹氷が一層美しく見え、青空とのコントラストを楽しめるでしょう。12月下旬~3月上旬までは樹氷のライトアップも行われるので、夜に一味違った樹氷の表情を堪能するのもおすすめです。
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もっと! 撮影テクニック
もっと! 撮影テクニック
背の高い樹氷を撮影するなら、「三角構図」とよばれるテクニックを意識してみましょう。三角構図は、三角形の被写体を写真に配置したり、写真の中に三角形ができるように被写体を切り取ったりする手法です。
三角構図を使うと、被写体の奥行きや高さを強調できます。例えば、背の高い木を三角形に捉えて配置したり、奥まで伸びる道路を三角形に捉えてシャッターを切ると、空間の広さが感じられます。
樹氷の壮大さを強調したいときは、ぜひトライしてみてください。
木々がシンメトリーに湖面に映る「御射鹿池」(長野県)
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長野県の奥蓼科(おくたてしな)温泉郷で見られる絶景といえば「御射鹿池(みしゃかいけ)」です。
御射鹿池は、背景の山々が見せる四季折々の風景を、まるで鏡のように映しだす幻想的な池です。周囲のカラマツ林が、春夏の緑から、秋の黄葉、冬の雪化粧と、色とりどりに姿を変えていく様を、水面がシンメトリーに映し出します。その光景は多くの人にインスピレーションを与えており、日本画家・東山魁夷の名作『緑響く』のモチーフとなった場所としても有名です。
幻想的な池ですが、実は昭和初期に作られた人口のため池です。湖水は酸性が強いため、微生物や魚が生息しづらく、湖底には酸性水を好むコケ類が繁茂しており、これが鏡のような水面を作り出しています。
撮影では、木々が湖面にくっきりと写り込む様を切り取りたいところです。気候が穏やかで、水面が静かな日を狙って出かけると、御射鹿池ならではの美しさが伝わる写真になるでしょう。
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もっと! 撮影テクニック
もっと! 撮影テクニック
御射鹿池の撮影でぜひ試してほしいのが「シンメトリー構図」というテクニック。逆さ富士のような上下または左右で対称な被写体の撮影で使われる技法です。対称性のある構図は人の目を惹きつけやすく、安定性を感じさせます。
上手に撮るコツは、カメラをしっかり水平に構えることと、被写体を真正面から捉えること。カメラの高さや向きを変えるだけでも印象の違った写真が取れますので、トライしてみてください。
風と砂が織りなす風紋は芸術「鳥取砂丘」(鳥取県)
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鳥取県を代表する絶景の観光スポットといえば「鳥取砂丘」。視界いっぱいに広がる壮大な砂地は、見る人を圧倒します。
鳥取砂丘は10万年以上の歳月をかけて形成されたといわれており、東京ドーム約820個分もの広さを誇ります。また、世界的に見ても独特な地形と植生を持っていることから、国の天然記念物に指定されています。
ぜひ訪れてほしいのが「馬の背」と呼ばれる、砂丘の中でも特に高い丘です。高さは約47メートルもあり、かなりの急斜面ですが、頂上では日本海を一望でき、海に沈む夕日を楽しむことも可能です。
写真を撮るなら、風が砂面に波模様を描く「風紋」を捉えたいところ。風紋は、砂が良く乾き、風速5~10m/s程度の適度な風が吹いていると形成されやすいため、気候条件をチェックして行きましょう。また、多くの観光客が訪れた後は足跡が残りがちなので、行くなら早朝がおすすめです。
美しい海に伸びるフォトジェニックな橋「角島大橋」(山口県)
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2000年に開通した角島大橋は、山口県の本州と角島を結ぶ、全長1,780メートルの橋です。無料で渡れる一般道の橋としては、日本屈指の長さを誇っています。
リゾート地のように真っ白な砂浜からコバルトブルーの海をまっすぐに横切る橋は、その美しさがSNSでも話題になりました。CMやドラマ撮影でも度々使用されており、テレビで見かけたことがある人も多いかもしれません。
写真を撮るなら、海の青色と砂浜の白、角島の緑のコントラストが強調される夏の晴れた日がおすすめ。自転車や徒歩でも通行可能ですので、カメラを片手にサイクリングや散歩しに訪れてはいかがでしょうか。
神々しいほど美しい渓谷「高千穂峡」(宮崎県)
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「高千穂峡」は、宮崎県・五ヶ瀬川流域にかかる渓谷で、国の名勝・天然記念物にも指定されています。
高千穂峡は、阿蘇カルデラをつくった大規模な火山活動によって形成されました。流れ込んだ溶岩が五ヶ瀬川に侵食されてできあがった幾何学的な岩々や、深い青色の水面が美しい渓谷です。その神秘的な美しさから、日本神話のひとつである「天孫降臨」の舞台になったといわれています。特に、展望台から見る「真名井(まない)の滝」は絶景です。
午前中の短い時間しか渓谷に太陽が差し込まないため、撮影するなら午前中がおすすめ。水の流れを表現したいなら、三脚や手すりでカメラを固定してスローシャッターを切るといいでしょう。
フジフイルム スクエアの写真展(入館無料)のご案内
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日本国内の幻想的な絶景スポットをご紹介しました。行ってみたい観光地は見つかりましたか?国内旅行を計画中の方は、ぜひこの記事を参考にしてくださいね。
絶景スポットは、実際に訪れるだけでなく、その美しさを捉えた写真を見ることでも楽しめます。フジフイルム スクエアでは、日本の絶景スポットの写真を含め、バリエーション豊かなテーマの写真展を年中無休で開催しています(年末年始除く)。どなたでも無料で楽しめるスポットですので、ぜひ気軽にお立ち寄りください。写真展の詳細は、こちらのリンクから確認できます。