基本的な月の種類は5つ
-
月は地球と太陽のまわりをグルグルとまわっているため、神秘的な満ち欠けを繰り返し、日ごとに異なる姿を見せます。小中学校で習った知識ではありますが、まずは代表的な5つの月の形についておさらいしておきましょう。
1. 姿がほとんど見えない「新月」
新月とは、月が出ているかどうかわからないほど真っ暗な状態。そもそも月は、自ら光を発しているのではなく、太陽に照らされて輝く衛星です。
新月のときは、太陽と月が同じ方向に位置しています。地球からは見えない月の裏側に太陽の光が当たっており、地球からは月の影の部分しか見えないため、その姿を捉えることができません。
-
2. 一部が細く見える「三日月」
2. 一部が細く見える「三日月」
新月から2日ほど経ち、月の位置が太陽から少しずつズレていくと姿を現すのが三日月です。西側の一部分だけが光って見えます。日が沈むころに、西側の空で見つけることができるでしょう。
月の満ち欠けを象徴するその姿は、神秘的でありつつどこかはかなげ。反対向きの三日月、すなわち満月から細くなっていくときは、“明けの三日月”と呼ばれます。
3. 西側だけが見える「上弦の月」
新月から数えて約7日後に現れる、上弦の月。三日月があった場所からさらに西へと移動し、地球から見て月と太陽がちょうど90度に位置します。
太陽の光が当たっている西側の半分のみが見えるため、「D」のような形に。日の入りごろに、南の空で見つけることができます。
4. ほぼ全面が見える「満月」
新月から数えて約15日目の、最もまん丸な形が満月です。地球から見て月と太陽が反対側に位置しており、月の明るい面がすべて見えている状態。
ほかの形の月よりも明るく、一晩中見ることができますよ。日の入りごろなら東の空を、真夜中なら南の空をチェックしてみましょう。
5. 東側だけが見える「下弦の月」
満月の日を過ぎると、月は東へ移動し少しずつ細くなっていきます。月の東側半分だけに太陽の光が当たり、「D」を反転させたような形が下弦の月です。
下弦の月は、新月から数えて約23日後の真夜中に姿を現すので、東側の空をよく見てみましょう。日の出ごろなら、南の空に注目してみてください。
珍しい現象による月の種類も!
-
月が変化するのは、満ち欠けだけではありません。そのときどきに起こる、さまざまな現象によって見え方が変わることも。ここからは、珍しい現象による月の種類を紹介します。
また、月だけでなく、きらきらと輝く満天の星も美しいものです。フジフイルム スクエアでは、力強いアメリカの自然と幻想的な星空を1枚に収めた、独創的な写真展を過去に開催。このほかにも、随時さまざまなテーマで写真展を開催していますよ。詳細は以下のページよりご確認ください。
通常より大きく見える ― 「スーパームーン」
スーパームーンとは、月が地球に接近することで、通常よりも大きく、かつ明るく見える満月のことです。月と地球との距離は平均して38万4400kmほどですが、実は一定しておらず、そのときどきによって変化します。
しかし、天文学的に定義されているわけではないため、「これくらいの大きさの満月をスーパームーンと呼ぶ」というような基準はありません。
通常よりも小さく見える ― 「マイクロムーン」
マイクロムーンは、通常よりも小さく見える満月のことです。スーパームーンとは反対に、月と地球との距離が最も遠くなるときに見られます。
こちらも天文学的に定義されておらず、明確な基準はありません。しかしNASAの調査によると、スーパームーンとマイクロムーンとでは大きさが14%、明るさが30%異なるようです。
2~3年に1度 ― 「ブルームーン」
ブルームーンには、いくつかの定義がありますが、その1つはひと月に2回新月が現れること。直訳すれば「青い月」ですが、色を意味するわけではありません。諸説ありますが、「2つの満月」を表す「ダブルムーン』が転じて「ブルームーン」と呼ばれるようになったという説もあります。
月の周期は約29. 5日なので、通常であれば新月は1か月に1度しか現れませんが、ブルームムーンは2〜3年に1度の割合で発生します。珍しい現象なので、外国では「ブルームーンを見ると幸運になれる」といわれることも。
-
皆既月食で見られる ― 「ブラッドムーン」
皆既月食で見られる ― 「ブラッドムーン」
ブラッドムーンは、皆既月食のときに見られる赤黒い満月のことです。そもそも月食とは、地球が太陽と月のあいだに入り、月が地球の影に隠れてしまう現象。影が月のすべてにかかることを皆既月食、一部のみにかかることを部分月食といいます。
このとき真っ暗にならず赤黒く見えるのは、太陽光のうち赤色の光だけが地球の大気を通過しつつ屈折し、月を照らすからです。
月が真っ黒に見える ― 「皆既日食」
日食とは、月が地球と太陽のあいだに入り、太陽を隠してしまう現象のことです。月食と対で語られることも少なくありません。
太陽がすべて隠れることを皆既日食、一部が隠れることを部分日食、中央部分が隠れて輪っかのように見えることを金環日食といいます。このときの月は必ず新月で、真っ黒に見えるのが特徴です。
月の名前は毎月変化する
-
アメリカの先住民族であるネイティブアメリカンは、季節を把握するために、毎月現れる満月にそれぞれ異なる名前をつけていました。季節の移り変わりを感じさせる、12の満月の名前をご紹介します。
1月 「ウルフムーン」
1年のはじまりである1月の満月は、ウルフムーンと呼ばれます。オオカミはこの時期になると繫殖期を迎えたり、厳しい寒さで食糧不足に陥ったりして、いつもより遠吠えがよく聞こえるようになる、ということから名づけられたそうです。
2月 「スノームーン」
2月のスノームーンは、雪がよく降ることを示しています。命をつなぐための狩りができなくなることから「ハンガームーン」という別名も。雪が降り続けば、春を迎える前に食糧が尽きてしまうかもしれません。美しい響きの名前ですが、同時に冬の厳しさも感じます。
3月 「ワームムーン」
ワームとは、ミミズやイモムシといった虫のことです。3月になれば寒さが和らぎ、土の中から虫たちがひょっこり顔を出して活動をはじめます。虫に限らず、動物も冬眠から目覚めて動き出す季節。新たな命が芽吹く、春の訪れを感じさせます。
4月 「ピンクムーン」
4月の満月は、春の陽気を感じさせるピンクムーンです。シバザクラやクサキョウチクトウなどがピンク色の花を咲かせることに由来しており、月がピンク色になるわけではありません。日本でも4月はサクラが咲く時期なので、親近感を覚える人は多いのではないでしょうか。
5月 「フラワームーン」
5月の満月を指すフラワームーンは、さまざまな花が咲きはじめる時期であることに由来します。春から初夏にかけての、さわやかで心が浮き立つような季節を思わせる名前です。
6月 「ストロベリームーン」
6月の満月は、ストロベリームーンです。北米では毎年6月にイチゴの収穫が行われるため、この名がつけられました。ピンクムーンと同じように、月がイチゴのような色に変化するわけではありません。
7月 「バックムーン」
バックとは、オスの鹿のことです。鹿の角は毎年春ごろに生え替わり、7月になると幹角から枝わかれして枝角が伸びはじめ、立派な角へと成長します。ネイティブアメリカンにとって、鹿の角は季節の象徴となるほど重要なアイテムだったのかもしれませんね。
8月 「スタージェンムーン」
スタージェンとは、河川や湖などの淡水に生息しているチョウザメのこと。チョウザメといえば、卵を塩漬けにした世界三大珍味のひとつ、キャビアが有名ですよね。8月になると五大湖などでチョウザメ漁が盛んになることから、この名前がつけられました。
-
9月 「ハーベストムーン」
9月 「ハーベストムーン」
9月は、北米ではトウモロコシなどの農作物を収穫する時期。日が暮れても収穫作業に追われる人々を、月がやさしく照らしたことから、ハーベストムーンと名づけられました。日本の「秋分の日」に最も近い満月でもあります。
10月 「ハンターズムーン」
この時期の野生動物は、すぐそこに迫る冬への準備のために、脂肪を蓄えまるまると太っている状態。人間にとっては、ハンティングの絶好のチャンスです。また、10月の満月は光が強いため、月明かりを頼りにハンティングを行ったともいわれています。
11月 「ビーバームーン」
11月はビーバームーンです。ネイティブアメリカンたちが、冬に備えてビーバーの毛皮を確保するため、この時期にたくさんの罠を仕掛けていたことから名づけられました。また、ビーバーが巣作りに力を入れはじめる時期であることが由来しているという説も。
12月 「コールドムーン」
寒さが本格化する時期に見られる満月ということから名づけられた、コールドムーン。名前を見るだけで、冬の星座に囲まれて、白く輝く満月の姿が目に浮かぶのではないでしょうか。日本でも、寒々とさえわたって見える月を「寒月」と呼びます。
月の種類や名前はたくさんある!
-
地球や太陽との位置関係によって、さまざまな表情を見せる月。ネイティブアメリカンは、夜空に輝く月に特別な意味を見い出し、さまざまな名前をつけてきました。月の種類を知っておけば、いつもの夜空が少し変わって見えるかもしれませんよ。
今回は月の種類についてご紹介しましたが、フジフイルム スクエアは月だけでなく、夜景・星空・宇宙をテーマにした写真展を開催しています。ほかにも多様なテーマで随時イベントを開催しているので、ぜひ足を運んでみてくださいね。